表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します  作者: ma-no
五章 二年生も夜遊び

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

110/522

110 フィリップの捨て身


「話ぐらい聞けよ!」


 ビルぐらい巨大なブラックドラゴンが放った灼熱の炎を、間一髪横に飛んで逃げ(おお)せたフィリップはプンプン。


「というより、一定の会話しかできないってのが正しいか。なんなのここ? バグってばっかじゃん! また来た!?」


 ブラックドラゴンとの会話から分析していたフィリップであったが、灼熱の炎が迫っていたのでまた横に飛んで回避。


「あっち~……てか、アイツ、前に出て来ないな……あの位置から動けない設定か? とりあえず、そっから確認だな。とう!」


 フィリップの必勝法は分析から。まずはこの距離を維持しつつ、走り回って灼熱の炎を避けながら、指鉄砲乱射。HPの減りは確認できないが、ブラックドラゴンはたまに嫌そうな顔をするからダメージは入っていると思われる。

 次は半分辺りまで近付いて、扇状に走りながら指鉄砲乱射。そして、ブラックドラゴンのブレスの合間に氷だるマンをぶつけようとする。


「接近戦は、前足での薙ぎ払いと叩き潰し……尻尾もアリね。口の出番はどうだ?」


 氷だるマンは、ブラックドラゴンにほとんど叩き潰されて粉々に。たまに当たる氷だるマンはそこそこダメージになっていると思われるが、そこまで近付くと尻尾が上から降って来たり薙ぎ払い。

 なのでフィリップは口を使わそうと、素早く走り回って両サイドから10体の氷だるマンでアタック。3体ほど前足の攻撃を掻い潜り、ブラックドラゴンに体当たりした直後、1体は尻尾に叩き潰される。

 もう1体は噛み砕かれたというか、口の中に入って消滅。最後の1体は3回ほど体当たりしていたけど、右手に握り潰された。


「ふむふむ。だいたいの間合いは把握できたかな?」


 フィリップは止まることなく動き続け、ブラックドラゴンの手が届かないギリギリのラインまで近付き、氷だるマン乱射。ここまで手数を増やすとブラックドラゴンはブレスを吐く余裕がなくなり、接近戦仕様になるようだ。


「喰らえ~~~!!」


 その確認が終わり、ブラックドラゴンが氷だるマンを食べた瞬間を狙ったフィリップのジャンピング斬り付け。


「ぐああぁぁ~!!」


 会心の一撃を喰らったブラックドラゴンは大袈裟に仰け反ったので、フィリップもしたり顔だ。


「おのれぇぇ~~~!!」

「うわ~~~!!」


 その一瞬の油断が(あだ)に。ブラックドラゴンが大きな翼を広げて羽ばたくと、凄まじい強風が吹き荒れ、フィリップは踏ん張りが利かずに吹っ飛んで行くのであった。



「ビックリした。マグマに落とされるかと思ったよ~」


 フィリップは後ろを見てゾッとはしたが、いきなり風の圧力が消えたから、接近しすぎる、いい攻撃を入れる、ダメージの蓄積、この三択のどれかで入口付近に戻されると分析している。


「まだ他に手札はあるのかな~?」


 それでもフィリップは慎重に。ブレスを掻い潜り、氷だるマンや直接攻撃でダメージを稼ぎ、振り出しへ戻ると繰り返す。ただ、ブラックドラゴンは他の攻撃手段を見せないので、30分も過ぎるとフィリップも飽きて来た様子。

 床に杭を突き刺した氷の壁を何ヵ所も設置して、風対策を試してみる。


「ぐう~……これはこれでキツイ!!」


 でも、凄まじい強風なので、フィリップの顔はグチャグチャ。氷の壁が動かないことはよかったが、前に立つと張り付けられるので動けない。ダメージもあるようだ。

 というわけで後ろに隠れる作戦を取ってみたけど、何度か辿り着けずに振り出しへ。仮に後ろに隠れられても、風がやむまで前に出られないし、直後のブレス攻撃の格好の的になるから違う手を考えるしかない。


 そんなトライアンドエラーを続けていたフィリップに、幸運が訪れる。


「ラッキー! 攻撃し放題だ~~~!!」


 直接攻撃した直後にブラックドラゴンの懐に残っていたら、たまたま風が当たらない位置だったので、フィリップは剣を振りまくって大ダメージを与える。

 そして何度も受けた暴風の効果時間を数え、2秒前に風に乗ってブラックドラゴンの真下を離れるのであった。



「いったい、どんだけHPあるんだよ~……」


 ラッキーポイントを見付けてから何度も大ダメージを与えているのに、2時間も繰り返していてはフィリップも愚痴が尽きない。

 暴風のタイミングも完璧に覚えてしまったから、氷魔法で作った防空壕の中でMPポーションで一服しながらとぐろを巻いてるよ。


「こうなったら……僕の捨て身の戦法を見せてやるよ!!」


 フィリップは覚悟を決めて防空壕を飛び出ると、10メートル四方の分厚い氷の塊を魔法で作った。

 そしてその前に立ち、ブラックドラゴンと正面から真っ向勝負するのであっ……


氷桜吹雪(ひざくらふぶき)! 氷桜吹雪! ゴクゴク。氷桜吹雪! 氷桜吹雪! ゴクゴク。氷桜吹雪! 氷桜吹雪! ゴクゴク。ぷは~! 氷桜吹雪~~~!!」


 いや、ハメ技でした~。


 フィリップは分厚い氷の塊に隠れて、最強魔法を撃つだけ。ブラックドラゴンは動かない設定なのだから、距離なんて目を瞑っていてもわかる。

 氷桜吹雪は離れた場所から竜巻の中に敵を閉じ込めて切り刻む魔法なんだから、壁があっても関係ない。

 ブラックドラゴンの攻撃はブレス攻撃に限られるし、氷である程度防げるのも確認済み。なんなら氷桜吹雪を連発しているから、ずっと翼をバサバサしてる。


 さすがにここまで酷いハメ技は自重していたようだけど、どこが捨て身なんだか……


「ゴクゴク……ゴク……ウップ……早く死ね~~~!!」


 お腹の心配ね。


 フィリップは水っ腹に耐えながら、最強魔法を撃ち続けるのであった……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ