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【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します  作者: ma-no
五章 二年生も夜遊び

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101 カラフル王子と決闘


「ブラボー! 楽しかったよ~。ありがと~~~う!!」


 ブンテレンジャーの決めポーズに、フィリップはやんややんやのベタ褒め。厨二でパープル担当のポントゥス以外は、褒められても微妙な顔をしてるけど……


「ラーシュもお疲れ。かっこよかったよ」

「もったいないお言葉で……」

「ほら? リンゴちゃんも拍手してるじゃ~ん」

「本当ですね! やった……」

「じゃ、帰ろっか」

「はいっ!!」


 ラーシュは微妙な顔というより怒りの顔をしていたので、まだ諦めきれないウリカ嬢をフィリップが指差したら機嫌よし。ウリカ嬢は、ブルー担当のバルタサールに拍手を送っていたんだけどね。

 こうしてカラフル王子の自己紹介を受けたフィリップは、ご機嫌で歩き出したのであっ……


「「「「ま、待ってください!!」」」」


 いや、カラフル王子に呼び止められたのであったとさ。



「なんか用? 早く帰りたいから、歩きながらでもいい??」


 2年生のフロアまで下級生のカラフル王子がやって来てフィリップを指名していたのだから、用があるに決まっている。しかしフィリップは呼び止められても歩みを止めないので、リーダー格のバルタサールが並んで話をする。


「今日は、あなた……殿下にお話したいことがあります」

「敬語も気にしないから、さっさとしなよ」

「では!」


 ラーシュに注意されたのでバルタサールも(かしこ)まっていたが、フィリップから許可を得ると鋭い目になった。


「殿下はこの学校を牛耳り、男は暴力で押さえ付け、あまつさえ女性に乱暴を振るっていると聞きました。それが大国の皇子のやることですか! 乱暴された女性は泣いていたのですよ!!」

「貴様! 殿下がそんなこと……」

「ラーシュ。黙れ」

「は、はっ」


 バルタサールがいきなりフィリップに冤罪を着せて怒鳴るものだから、ラーシュはキレたが、フィリップは冷たい声で止めた。ちなみにラーシュが言おうとした続きは「してないですよね?」と、疑いだ。


「んで……何が言いたいの?」

「その態度を即刻改めていただきたい! そして乱暴した全員に謝罪しろ!!」

「ふ~ん……正義感が強いんだ~……」


 フィリップは1階まで下りたところで、歩みを止めてカラフル王子を見回すと、全員覚悟を決めた目をしていた。


「僕の答えは、ノーだ。謝罪なんてしないよ」

「なんて傲慢(ごうまん)な……だったら、我々と決闘しろ! 腕尽くでも謝らせてやる!!」

「ヤだよ。面倒くさい」

「……へ??」


 ここまで(あお)られたら乗って来るモノだと思っていたバルタサールは、スカされたのでポカンとなった。


「男が決闘を申し込んでいるんだぞ! 何故、受けないんだ!!」

「面倒くさいって言ってんじゃん。それに、我々と決闘しろってなに? 1対1もできないザコと決闘なんて、やる義理もないね」


 フィリップは冷たくあしらって歩き出し、合流したダグマーや護衛にも黙っているように命令して進んでいたら、校舎を出たところでカラフル王子が追いついて来た。


「だったら私が1人で相手してやる! これでいいのだろ!!」


 バルタサールの言葉に、フィリップは悪い顔になる。


「プッ……バカなの? 僕がやるわけないでしょ」

「逃げるのか!」

「逃げもしないよ。僕には護衛がいるからね。ダグマー、僕の代わりに決闘受けてあげて」

「はっ! どれほど痛め付けたらよろしいでしょうか?」

「ビンタ1発で充分っしょ」

「「「「なっ……」」」」


 1対1を提案しても、フィリップはまったく受け付けずにメイドに代わりをやらそうとするので、カラフル王子は驚愕の表情だ。


「あっれ~? 僕のメイドが怖いの~??」

「怖いわけがない! か弱い女性を前に出して恥ずかしくないのか!!」

「ぜんぜん。うちのメイド、超強いもん。お前らなんて、10秒もあれば皆殺しだ。ね?」

「いえ。5秒で終わらせます」

「わ~お。たのもし~い。そんなダグマーに勝てたら相手してあげるよ。僕はダグマーの10倍強いよ~??」


 ダグマーの返しにカラフル王子は一歩下がったが、フィリップの発言でダグマーだけでなくラーシュたちまで「嘘つき」って顔になってた。


「わかった……決闘を言い出したのは私だ。その約束、(たが)えるなよ?」

「カッチョイイ~! いいよ。じゃあ、僕が審判するね~」


 何故かフィリップが嬉しそうに審判をすると言い出したので、全員微妙な顔で準備をするのであった。



 決闘のルールは、素手。降参するか気絶するかだけの簡単なルール。フィリップはダグマーに軽く耳打ちしたら、バルタサールとダグマーの間に立った。


「はじめっ! ニヒヒ~」


 フィリップがノリノリで開始を告げると、ダグマーはカーテシーをしてからゆっくりと前に出た。


「すまない……すぐに終わらせるから……」


 するとバルタサールは素早く前に出て、ダグマーのお腹に拳を放ったが、空振り。そこから本気になって拳を振るい続けている。


「おおっと。ブルーのパンチはかすりもしない! 遅い! 遅い! 遅すぎるぞ~~~!!」

「うるさ~~~い!!」


 フィリップは楽しそうに実況しているが、バルタサールの癇に障って怒られちゃった。


「もういいよ。終わらせちゃって」

「はっ!」

「ぶへっ!?」


 一撃必殺。素早く動いたダグマーのビンタに反応できず、バルタサールは無様な声を出して吹っ飛び、気絶してしまうのであった……


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