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第8話:ドМになれ!!

内容を大幅に変えたので、ここから読む人は、1話から読むようお願いします。



自分勝手な理由ですが、お付き合いして頂けたら幸いです。



 俺は屋敷に帰り、さっそく思いついた事をやろうと考えた。


「でもその前に・・・」


 俺は父親の部屋に忍び込んでいた。


 ここに、今回の閃きを成功させる為の重要なモノがあるのだ。


 俺は、部屋の本棚の前に立ち、一冊の本を奥に押し込む。すると、カチッという音と共に、本棚が横に鈍い音を立てて動き出した。


 ベタすぎる隠し場所だと思うが、あの頭の悪い親父の子孫なので、仕方のない事だと思うが。


 本棚がずれ、現れた階段を進む。


 階段を降り切り、通路を奥に進んでいく。


 この地下通路は、俺がこっそり地下室を作ろうと思った時に、偶然発見したものだった。最初は意味のないもんだと思ってたけど、なんか通路に壊れないように魔法が刻まれているのが分かり興味を持ったのだ。


 そして、調べて行く内に、これが我が家の家宝の仕舞い場所だという事がわかった。


 貴族・・・しかも武門の家宝なんて、戦闘面で期待出来そうなので、俺はそれを拝借しようと思ったのだ。


 どうせあのクソ共はこの通路の存在にも気付いていないだろう。


 バカで救いようのないウンコクズだからな。


 暫く歩くと、目の前に巨大な金庫が現れた。


「でかいなー」


 呟きながら、俺はその金庫に触れる。と、その瞬間―――。


 ―――バチィィ!


 一瞬閃光が瞬き、俺の手を弾き飛ばした。


 予想外の衝撃に、俺は思わず数歩程よろめく。


「なるほど。開けるには専用の何かが(・・・)必要ってわけか・・・」


 普通ならそれを探してもいいのだが、今はそんな事をしている暇はない。


 昨日から、クソ親父とゴミ母親と、ウンコ兄貴は、所用で王都に出かけている。なんでもあのウンコ兄貴を幼いお姫様と仲良くさせる為だとか言っていた。


 どうせあわよくば許嫁に・・・とか思っているんだろうが、たかが伯爵家、しかも武門の人間を血を王家が取り入れる筈がない。


 そんな事も分からない脳筋な両親に絶望すると同時に、そんな低俗な理由で王都に出向くあいつらが酷く滑稽に思えた。


 まあ、異常者である俺が言っても意味はないのだが。


 それに今は目の前の金庫が先だ。


 せっかくウザい奴らがいないのだ。その内にやれることは出来るだけやっておきたい。


「まあ、魔法の防犯なんて俺の前には全て無意味だけどな」


 俺は腰の後ろ側に付けていた短刀を取り出した。


 そして、その短刀に“剣帝”の能力を付加させる。


 そして、思いっきり金庫目掛けて振り下ろす。


 ―――スパァァアン!


 甲高い音を立てて、俺は、金庫に掛けられた盗難防止の魔法を切断した。その時の負荷で、担当がボロボロと崩れたが、まあ問題はない。


 ――――後で新しいのを買おう。


 そんな事も考えつつ、俺は金庫を開ける。


「さあて、何が入ってるのかなー」


 ルンルンしながら中身を覗きこむと、そこには一冊の書物が、ポツンと置いてあった。


 俺はそれを手に取った。


「これは・・・魔導書か?」


 魔導書。


 それは文字通り魔法についての記述がなされている本だ。


 大抵は世間に一般には公開されていない魔法や、禁術といったものなどが、載っている。


「ふむ。とりあえず読んでみるか・・・どれどれ」


 俺は本を開き、中身を読んでいく。


「んだよ。普通に普通な魔法ばっかじゃねえかよ!」


 そう。


 書かれていた魔法は、普通に既存する・・・一般的に知られている魔法ばかりだったのだ。


 ぶっちゃけ役に立たん。


 くそ、これはどうでもいいもんを掴まされたか?


 と思いながらページをめくっていくと、気になる章があった。


~第13章 限界魔法~


「限界魔法・・・?なんだそれ?」


 気になった俺はその内容を読んでいく。


「・・・限界魔法とは、人間では扱えない魔法の総称である。始まりは今から二千年前、神魔がこの世界を跋扈していた時代、人々は神魔に対抗するべく新たな魔法の開発に取り組んだ。その結果辿り着いたのは、神魔が保有するチカラを魔法で手に入れようとする試みだった」


 そこまで読んで、俺は心が昂ぶるのをはっきりと感じた。


 神魔が実際に存在している事は驚きだが、それよりも、こういう強力な魔法を俺は求めていた。


 そして、続きを読み始める。


「しかし、その試みは失敗に終わった。人間の能力では、この魔法・・・ここでは神魔魔法と定義する・・・を扱うには、限界があった。既存の素材で作った魔具や魔装具では扱う事など出来なかったのだ。その事実に打ちのめされた研究者達は、いつしか希望を託した神魔魔法を、限界魔法と呼ぶようになった」


 成程ね。


 人間では扱うのに限界があるから限界魔法。


 なんだかなーってネーミングセンスだけど、言いたい事は分かった。


「っと、続き続き。・・・・しかし、この研究を引き継いでくれる者が現れる事を私は切に願う。その希望を託し、私は、私が作り出した限界魔法・・・いや、神魔魔法を記そう」


 と、ここで説明は終わっていた。


 後に書かれているのは、限界魔法についての詳しい説明だけだ。


 というかなんで最後の方だけ書き方が変わったんだ?


「それに二千年前って、この本書いたのいつだよ。少なくともこの本を書いている時はまだ限界魔法っていう言葉自体は比較的メジャーだったと考えていいから・・・・ざっと考えて千年は前に書かれた代物か?」


 少なくとも五百年前に書かれた魔導書には限界魔法なんつう項目は無かった。


 最低でもそれより前だと考えていいだろう。


 しかしこの時代では神魔が普通にいると考えられていると思われるから、下手したら千年以上前のものかもしれない。


 なぜなら一年前に王都の王立図書館に行ったとき、千年前の歴史書を読んでも、神魔の記述は一切無かった。


 それなのに普通に神魔について書かれてるって事は今から千年以上前は確定って事だな。


「絶対魔法・・・。死んでも習得してやるよ」


 俺は、その本を持って、その部屋を後にした。


 ちなみに金庫は俺の“超振動”で跡形もなく消し飛ばした。


 まあバレても文句は言われないだろう。


 そして俺はその日から、ひたすら絶対魔法の解析に時間を費やす事になった。


 閃きを試すのはまた今度になってしまった。



@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@



 絶対魔法の解析に取り掛かり、ちょうど二ヶ月が経過した。


 そこで俺はようやく一つの解析に成功したのだ。


 成功した限界魔法は、――――――“再生”。


 文字通り、肉体が何かしらの傷を負った時、魔力を使ってその傷を元に戻す能力だ。あの本では、頭と心臓さえ無事で、魔力さえあればどんな状態からでも再生可能らしい。


 そのあまりのチートっぷりにも驚きだが、神魔共がその能力を持っている事にはもっと驚きだった。


 そりゃ欲しいよね。そんな便利な能力があれば。だって戦場とかでも絶対死なねえし。


 まあ今はその事はいい。


 今日俺は、その“再生”を覚えるつもりだ。


 しかし、普通の方法では限界魔法を覚えることなど不可能。あの本でも、「既存の素材で作った魔具や魔装具では不可能」と書いてあったしな。


 だからと言って俺の“改造”を使ってミスリルとかアダマンダイトとか賢者の石とかを作るわけじゃない。


 俺はまず右手にナイフを持つ。ちなみに新品で、今日初めて使う。


 そしてその新品にナイフに“剣帝”である“切断”を纏わせる。そして――――。



 ――――俺の左腕に突き刺した。



 スウゥと音が出そうなほど、ナイフは俺の腕を切断していく。


 まあ切断しているのは腕の肉だけであり、骨自体は切断していない。


 ナイフを腕の横にグルリと回しながら切断した後、今度は縦に切断していく。もちろん切断するのは肉であり骨は傷つけないように慎重にである。


 かなり冷静にやっているが、その実もの凄く痛い。というか発狂しそうである。


 肉を切断し終わると、俺はその肉を、右手で思いっきり引き剥がした。


「ぐうぅ・・・ッッ!!」


 余りの痛みに思わず呻いたが、こんな所でヘタレるわけにはいかない。


 肉を剥がすと、そこには血に染まった骨があり、所々白いのがわかるのが異様に気持ち悪い。


「おえぇぇぇ」


 吐き気を催しながら、俺は作業に取り掛かる。


 俺はこの限界魔法を、骨に直に刻もうと考えたのだ。


 そもそもあの本の研究は、ひたすら魔具に拘っていた。しかし俺はその考え自体を捨てた。


 魔具でダメなら骨に刻めばいいじゃない。


 そもそも魔具の正式な定義は、魔導刻印を刻んだものである。


 ならば骨に刻めばいいのでは?というのが俺の閃きだった。自分でもぶっ飛んでるとは思うが、俺は異常者なので問題はない。


「さて、やるか」


 俺は努めて普通の表情で、骨に、“再生”の魔導刻印を刻んでいく。


 その記念すべき最初の刻印をちょんっと刻んだ瞬間、言葉に言い表せない凄まじい激痛が俺を襲った。


「がああああああああああああああああぁアアアアあああああああ!!!!!????」


 くそ!


 マジでいてえ!これはシャレにならん!


 こんなやったら俺の頭が最初にイカレてしまう。確かに既にイカレているとは言え、これ以上イカレたら、最早俺は人ではなくなってしまう!


 こうなったら・・・・・・・。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 ・・・・・・・・・・・・・。


 ・・・・・・。


「一時的にマゾになるしかないな」


 苦痛の決断を下した俺は、さっそく自分に自己暗示をかける。


 俺は真性の変態クソマゾ野郎。痛めつけられるの大好きで、子供の頃の口癖が、「痛いの痛いのもーとちょーだいっ!」というレベルの変態だ。


 前世の時に初めて出来た彼女とアレする時も、「さきっぽに針刺して」と言ってドン引きされた経験を持つ変態だ。


 そう俺は変態ドМ。


「よし行けるッッッ!!!」


 ―――ちょん。


「があああああああああああああああああああ!!!っていけるかああぁぁぁぁぁ!!???」


 バカか俺は!!??


「はあ、はあ、はあ。こうなったら・・・。成功するという前提でやるしかない」


 俺はナイフを再び握り、肩に押し当てた。


 そして、肩から先の神経を切断した。あくまで神経だけだ。


「よし。これで痛みは感じない」


 現にいまも、痛みは感じていない。


 よし!これならガンガン行けるぜ!!


 そして俺は、約十五時間というとんでもない時間をかけて、身体の骨に、“再生”の刻印を刻むことに成功したのだった。


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