第2話:現状把握
この話しはほとんど世界観の説明みたいな感じです。
文才が無くてスイマセン。
転生した俺は五歳になり、無事俺の意識が戻った。
そして、簡単に俺の現在の情報と、この世界の情報を整理しておく。
俺が転生したこの世界を「ヴェルト」と言うらしい。神が植え付けたであろう情報には、「第四箱庭」となっている。
この箱庭というのは、恐らく神々が星に付けた名前であろうと推測出来る。まあ、人が住める星限定だろうがな。
次にこの世界に関する情報だ。
この世界の文明レベルは近世ヨーロッパ程度で、貴族政治を行い、そして、奴隷と呼ばれる者達も存在する。
まあここまでは地球の近世時代と似ている。
しかし、この世界には魔物と魔法が存在する。
魔物はゲームやファンタジーの物語に出てくるような存在だ。あえて説明するとすれば、魔物にはそれぞれランクが設定されており、Fランク~Sランクまで存在している。噂では更にその上に神魔とよばれる存在もいるらしいが、ぶっちゃけ会いたくない。
魔法に関してだが、魔法を発動する為には魔具、又は魔装具と呼ばれる道具を使用する必要がある。
魔具と魔装具の違いだが、魔具は杖や指輪など、直接戦闘に使用しにくい物を指し、魔装具は、剣や槍やハンマーなどの直接戦闘に使用できる物を指す。
それに、魔導刻印を予め刻む事により、その刻んだ刻印に対応した魔法を行使する事が出来る。
ついでだが、魔具や魔装具には容量が存在し、その容量以上の魔法を入れる(魔具等に魔導刻印を刻む事を入れると言う)事は出来ない為、入れる魔法は十分に気を付けなくてはならない。
そして、魔法にはそれぞれ属性が存在する。
無・火・水・風・雷・土の計六属性だ。ありがちな強弱の関係もある。水は火に強く、火は風に強い、風は土に強く、土は雷に強い、そして雷は水に強い。無属性は強い弱いが存在しない。
そしてお約束として、失われた属性魔法と言われるものもある。光と闇だ。
まあこの二つについては特に考える必要はないだろう。
こういうのは勇者と魔王の特権なんだからな。
それで、その属性魔法から様々な系統魔法に分類される。
攻撃魔法、防御魔法、補助魔法、召喚魔法など。
更にもう一つ、この世界には不思議な力がある。
それは「氣」と呼ばれるものだ。この「氣」、別に世界を破壊したり出来る力を持っているわけじゃない。
この世界での「氣」は「強化」の性質しか持たない。
身体に纏う事で身体能力を“強化”したり、武器に纏わせる事で性能を“強化”したりする。
ただそれだけなのだが、以外の汎用性がある気がするから、これから要研究だな。
と、ここまでがこの世界の情報だ。現段階での。
いや、俺に関する事がまだだったか。
この世界での俺の名前はカイス=フォン=アヴニール。中央大陸にある小国、リアルト王国の伯爵家の次男だ。
中央大陸というのは、この世界にある大陸の中の一つで、文字通り地図の真ん中にあるから中央大陸と呼ばれている。
他にも、北にある北方大陸、東にある東方大陸、南にある南方大陸、西にある西方大陸がある。
まあ、それは今はどうでもいい。
アヴニール家は、代々軍事において高い功績を積み上げ現在の地位に就いた。歴代の当主を見てみても、父親を入れて、全員が将軍職か、上級騎士以上になっている。
この国の軍隊の階級は、一番上から、元帥→将軍→大隊長→中隊長→小隊長となり、最後に、特別任務に就く部隊を仕切る、部隊長というものになっている。
ついでに言うと、騎士にも階級があり、上から、聖騎士→守護騎士→上級騎士→下級騎士→一等騎士→二等騎士→三等騎士→従騎士→騎士見習い→雑用となっている。
雑用の下には戦奴隷が入るのだが、奴隷が階級を上げる事は出来ないので、あまり関係はない。
ちなみに中には地球の軍隊のような階級の国もあるそうだ。
いつか行ってみたいと思う。
と、これで今俺が分かっている情報の全てだ。
なんか長々と考えたせいで頭がつかれたな。
今日はもう寝るとしよう。
明日からは俺の貰ったチカラ・・・ギフトと呼称しよう・・・について調べ始めるか。
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とか思っていた俺がいました。
しかし今日は何故か魔法の訓練があるそうだ。
“氣”の訓練はまだ幼いからダメらしい。
まあ軍関連の家だからな。仕方がないと言えば仕方がない。
「ではカイス。いまからお前に魔法を教える」
「はいちちうえ」
俺は子供らしさを出しながら、素直に答える演技をする。
本心では、何威張って言ってんだこの中年太りが、と思っているが、言ったら大変な事になるので我慢だ。
「ではその為に今日わざわざ来ていただいたユーバー=モタガレトス=アーロゲント先生だ」
そうクソ親父が言いながら、一人のオッサンを俺に紹介する。
つーかお前が教えるんじゃないのかよ。
「君がカイス君か?私は厳しいぞ?心して臨むように」
っち、このオッサンかなりプライドが高そうみたいだ。
これは少し面倒だな。
そして、俺の魔法訓練は始まった。
魔法訓練が始まって二時間。
俺はオッサンにメチャクチャに怒られていた。
「なんで君はそんな事も出来ないんだっ!?私が小さい頃はこの程度の魔法は簡単に出来たぞっ!」
「す、すいません・・・」
俺はしゅんとして謝るが、オッサンは「謝るぐらいならさっさとしろ!」と更に怒鳴る。というか魔法を初めて覚える五歳児にこのスパルタはありえないだろ。
今俺がやっているのは、簡単な属性魔法だ。
無属性魔法は比較的簡単に出来たのだが、その他の属性魔法が上手く出来ないのだ。
オッサンの話しを聞くと、無属性魔法は魔導師なら誰でも使えるもので、そこから自分の得意属性魔法を調べて行くらしい。
しかし、俺は今の所、無属性魔法以外全て失敗している。
普通、どんなに才能のない子供でもどれか一つの属性魔法(無属性は除く)は簡単に使えるようになるらしい。
つまり、これらを鑑みると、俺には魔法の才能が全くないという事になる。
い、いや、大丈夫だ。
物覚えが悪いだけで、頑張れば普通に覚えられるさ。
そう意気込んでいた俺だが、結局半年の訓練の甲斐なく、俺は無属性魔法以外を使う事は出来なかった。
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俺は今激しく落ち込んでいた。
まさか転生してこんな試練が待ち受けていようとは!
俺に魔法の才能が無いと分かると、クソ親父とクソ母親は手のひらを返したように俺に冷たく当たった。
五つ離れたゴミ兄も、俺の事を出来損ないだと言う。
ちなみにゴミ兄は火属性の才能に溢れ、今は従騎士をやっている。僅か十歳で従騎士というのは凄い事らしく、「神童」と呼ばれている。
そして毎日キレイなメイドさんと一緒に寝ているらしい。
くそ!それだけがただ羨ましい!!
だが、そんな俺の事を気に掛けてくれる人もいる。
俺専属メイドのラスティー=エルマナスだ。ラスティーは俺の五歳年上で、クソ親父が俺の為に雇ったメイドだった。
しかし、俺が魔法に関して無能だと分かると、その専属であるラスティーもこの家で肩身の狭い思いをしているだろう。
俺はその事を思うと、申し訳なくなってくる。
俺は自室に籠り、憂鬱な気分で椅子に座っていた。
―――コンコン。
その時、部屋をノックする音が聞こえた。
俺はその音に何の返事もしない。なぜなら俺の部屋をノックするのは、専属メイドのラスティーだけだからだ。
「失礼します坊ちゃま」
ラスティーが部屋のドアを開け、入ってきた。
俺はラスティーには、確認なく入ってきて良いとの旨を伝えてあるので、ラスティーは返事がなくても俺の部屋に入れるのだ。
「どうしたのラスティー?」
俺は幼い子どもの演技をしながら、ラスティーに尋ねる。
「どうもしません。ただ、坊ちゃまの様子が気になっただけです」
心配そうに言うラスティーに、俺は苦笑いをした。
「大丈夫だよ。それより僕はラスティーの方が心配だ。僕が無能だからラスティーには一杯迷惑を―――」
「坊ちゃまは無能ではありませんよ」
俺の言葉を遮り、ラスティーは俺を抱きしめた。
未だ十歳ながら、柔らかく、確かに女の子だと思わせるその身体に包まれる。
「坊ちゃまは無能ではありません。だって使用人である私を気遣ってくれているじゃないですか。そんな貴族様はどこにもいませんよ?」
そうラスティーは優しく微笑みながら、俺の頭を優しく撫でた。
それだけで、俺は救われた気がした。
たったそれだけで俺は勇気を貰った。
だから俺はこの時単純にもこう思った。
―――強くなろう、と。
そう思った俺は、これからの訓練プランを考えて行く。まず最初にギフトの能力の確認だ。なんだかんだで忘れていた。
次に魔法だ。
無属性しか使えないなら無属性を極めればいいだけだ。
苦手な属性や得意な属性が無い無属性は一見して汎用性に優れると思うが、一般的には、無属性の魔法だけで他の属性魔法と戦ったら、彼我の力量が十倍はないとまず負けるらしい。
だがそんなものは関係ない。
それに、なら俺がこの世界で初めての最強の無属性魔導師になってやるよ。
俺はラスティーに抱かれながら、静かにそう決意した。




