表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
復讐の転生者 ~仲間に殺された男は、かつての仲間の息子となり復讐を決意する~  作者: 白い彗星
第8章 奪還の戦い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

252/308

起こる騒ぎの中で



「さっきから、誰もいませんねぇ」


「ですが、油断はしないでください」



 裏門から、騎士学園内へと足を踏み入れた、ミライヤとリエナ。2人は、出来る限り音を殺し、声を殺し、慎重に歩みを進めていた。


 しかし、いくら慎重に移動しているとは行っても、ここまで誰にも出くわさないというのは、返って不気味だ。



「外で、人が消えてしまったのと、関係があるんでしょうか」


「……ないとは、言い切れませんね」



 ミライヤたちは、自分たち以外の人間が消えたのが、人払いの結界による現象だと気づいてはいない。



「それに、正門で大きな音があったのも気になるし……ノアリ様たち、大丈夫でしょうか」



 そして、正門ではこの結界を張った張本人であるシン・セイメイと、教師クロードが激突していることも、ミライヤたちは知らない。


 ただ、不気味なほどに静かである一方、時折爆音のようなものが響いている。それだけだ。



「先ほど、学園内で爆発があったようですが……なんなのでしょう」



 そもそもノアリたちが侵入を決めたのは、学園内で謎の爆発があったからだ。


 あれを皮切りに、悠長にしている時間はなくなり、ノアリたちと二手に分かれて侵入した。


 誰もいないのは、みんな爆発の原因を探るためにあっちへ行っているからだろうか。



「あの部屋に、なにかあるんでしょうか」



 ポツリと、ミライヤがつぶやく。外からではあの部屋がなに教室かまではわからなかったが、3階くらいの位置だ。


 あそこに、なにがあるのか。なにもないのに、爆発はしないだろう。多分。



「陽動……とは考えられませんか?」


「ようどう? ……適当な所を爆発させて、注意を引いて、その隙に侵入するつもりで?」


「あくまで考えのひとつですが。……ただ、爆発は内側から起こっているんですよね」


「うーん……」



 単に、学園の外側……つまり壁などが爆発すれば、外からの攻撃だとわかるものだが。起こった爆発は内側だ。


 爆発は部屋の中で起こったことになる。外から、内側を爆発させるなんて不可能だ。多分。


 それに……リエナの予想通りだとして、ミライヤたち以外にも学園内に侵入した者がいることになる。


 自分たちは、それにあやかりついでに侵入した、という形になっているわけで。



「ヤーク様を助けようとしてくれている人が他にもいるなら、心強いんですけど」


「先ほどの爆発の主が、味方とも限りません。もしかして、誰かが内部から爆発させたのかも。そんな危険な人物が、私たちにも好意的かどうか」


「内部から……そっか、侵入しようとした人が爆発させたんじゃなく、その協力者が内側から爆発させたのか」


「考えのひとつですがね」



 とはいえ、そう考えた方が自然だろう。学園内にも、ヤークワードを助けようとしている者がいる。


 まさか、何者かが侵入しようとして、そのために外から部屋の一部を爆発させるなんて芸当、不可能だろう。魔法を使っても、そこまで万能ではないはずだし。


 そんなことができる人物がいたとしたら、それはすごいを通り越してもはやインチキだ。



「まあ、考えても答えが出るわけではありません。先へ進みましょう」


「そうですね」



 思考を中断し、先へと進むことを決める。


 だが、ミライヤサイドは、ノアリサイドのようにどこへ進めばいいか、あてがあるわけではない。


 ヤネッサがいるノアリたちは、彼女の能力のおかげで迷いなく進めていたことだろう。ミライヤたちも、本来ならばアンジーやミーロに任せる手はずだったのだが……



「どこから回りましょう」


「そうですね……」



 とりあえず、ミライヤはノアリたちが無事であることを信じて、進んでいる。


 せっかく別れて侵入した手前、途中で合流するよりもそれぞれ別の場所を探索した方が効率的だ。



「ノアリ様たちは下から調べるとのことでしたので……上から、行きましょう」


「了解です」



 階段を見つけ、ミライヤとリエナは上る。普通に歩くよりも足音に気を付けなければならないため、より慎重に。


 ……ヤークワードを見つけたら、アンジーとヤネッサの間で連絡を取ってもらうつもりだったが……どうするかは、まあヤークワードを見つけてから考えよう。



「! し……」



 先行していたリエナが、階段を上りきる前に足を止め、身をかがめる。口元に指先を持っていき、静かにするようにとうなずく。


 その行為に、ミライヤも小さくうなずき……直後、ドタドタドタと、複数の足音。


 2人は身をかがめつつ、顔だけを覗かせると……



「……先生たち?」



 見覚えのある、教師たちが走っている。どこか、焦っている様子だ。


 どうやら、ミライヤたちの存在がバレたわけではないらしいが……まさか、ノアリたちが……?



「おい本当か、正門で誰かが派手に暴れていると!」


「今クロード先生が対応中だ!」


「なんでも、突然人が消えたのもそいつのせいらしい!」


「エルフ族が!?」



 騒がしく話をしている教師たち。激しい足音にかき消され、すべての会話が聞こえたわけではないが……


 正門で、なにかが起こっている。



「エルフ族……」



 正門にいるエルフ族といえば、ヤネッサだろうか。だが、彼女にこんな大規模なことが、できるだろうか。


 嫌な予感がする……どうか、無事でいてほしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ