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復讐の転生者 ~仲間に殺された男は、かつての仲間の息子となり復讐を決意する~  作者: 白い彗星
第7章 人魔戦争

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捕らえられた人々、抗う少女



「……いたぞ」


「……っ」



 息を殺し、ガラドと共に移動する。やはり移動中も逃げ遅れた人たちを見つけることは出来ず、ほとんど捕まったと見るのが妥当だ。


 そして、俺たちは身をひそめながら、とある場所へとたどり着く。


 騎士学園……そこには、複数の魔族が、捕まった人たちを囲うように、立っていた。



「あそこで、当たりだったようだ」


「みたいですね」



 ここからでは学園の中まで見ることは出来ない。だが、あれだけ魔族が、なにかを警戒するように身を固めているんだ。


 敷地内に、捕らえられた人たちがいる……そう考えた方が、妥当だろう。



「このまま、突入するのは無謀だな……」



 と、ガラドは呟く。ただの魔族ならば、俺とガラドであれば倒せる……だが、今見えている範囲にいる魔族だけが、すべてじゃないだろう。


 それに、もし人質を取られでもしたら、俺たちには手出しが出来ない。どころか、せっかく逃げたのに捕まりに来たようなものだ。



「なら、どうするか……」


「ヤークは、なにか考えがあるか?」



 なぜここで俺に意見を求めるんだ。まあ、単にひとりでも多くの意見が欲しい、ってところだろうか。



「そうですね……やっぱり、今あそこに突っ込むのは、得策じゃないですね」


「だよなぁ」


「とりあえず、他にも誰か捕まっている場所がないか確認するとか……いや、なんとか中の人と連絡を取る手段があれば……」



 自分でも、無茶苦茶を言っているのはわかるが……中に捕まっている、誰かと連絡を取ることが出来れば、状況は好転するはずだ。


 国を制圧されてしまったのは、魔族の不意をついた襲撃があったからに他ならない。



「内部と連絡か……」


「えぇ」



 だが、もしもここにいるみんなで一致団結できれば、魔族を倒せる。個の力では魔族に負けていても、集団としてならば勝てるはずだ。


 それに、外と内から一気に攻め立てれば、魔族も困惑するはず。



「なら、これは使えないか?」


「! 魔石、ですか」



 これを、と言ってガラドが懐から取り出したのは、魔石だ。手のひらサイズのそれは、不思議な色をしている。赤とも青とも取れる。


 これは、連絡用の魔石だろう。確かにこれならば、内々に連絡を取ることが出来る。



「だけど……この結界の中で使えるか、それがわかりませんね」


「……ダメだ、繋がらないな」


「!」



 エルフ族の魔力を封じるこの結界の中でも、魔石を使うことが出来るのか……確認するためには、慎重に……


 そう思っていたのだが、いつの間にかガラドが魔石を使って連絡を試みていた。なにやってんだこいつ。


 結果的に、魔石は使えなかった。それはそれとして、もう少し慎重に事を成してほしい。



「せっかくみんなが捕まっている場所を見つけたのに、歯がゆいな」


「……」



 歯がゆいのは、俺も同じ気持ちだ。今すぐにでも、本当なら飛び出した。


 あの中には、おそらくノアリやミライヤたちが捕まっている。あの2人が簡単に魔族にやられるとは思えないが……


 学園内で事が起こったとして、一対一の勝負ならともかく他に人質を取られれば、為す術はなくなるだろう。



「! おいヤーク、あれ」


「あ……」



 ガラドが声を押し殺しつつ、叫ぶ。その視線の先を追うと……


 そこには、あの魔族がいた。周りの魔族と色が違う、どこか別格感のある魔族。現に、強かった。


 そいつの後ろに、いた。アンジーと先生だ。気を失っているのか、抵抗する様子はない。別の魔族に、抱えられている。



「っ……」


「ヤーク、落ち着け」


「わかって、ますよ」



 あの魔族が、アンジーと先生を連れて現れたということは……やはり、ここに捕まえた人たちを集めているのか。


 魔族を確認するや、学園の門が開く。門の側にいる魔族と、なにやら会話をしているようだ。


 なにを話しているのか……耳に、全神経を集中させる……!



「ヤーク……?」


「しっ」



 …………



「見張りご苦労様です。先ほど2名ほど逃がしまして……しかし、この場所を突き止めれば、必ずここに来るはずです。警戒を怠らぬよう」



 ……俺たちがここに来るのは、織り込み済みってわけか。むしろ、おびき寄せたというべきか。


 ここに警備が厳重なのは、そのためなのか……ならば、他の場所は……?



「それと、まだ何名かは我々の手を逃れ、隠れているはずです。見つけ次第、ここに捕らえておくように」


「!」



 俺たち以外にも、逃げている者がいるのか……ここに来るまでは、見つけられなかったけど。


 ……いや、隠れてるってことはどこかに身を潜めているってことだ。だから簡単には見つからなくても、当然か。



「ちょっと! あんたたちこんなことして、タダで済むと思ってるの!?」


「!?」


「おいヤーク、この声」



 続けて聞こえてきたのは、俺のよく知っている声。耳をすまさずとも、ガラドにまで聞こえる声。


 ここからじゃ姿は見えないが、声の主が誰かはわかる……ノアリだ。



「おや、元気がよろしいですね……っと」


「ふん!」



 まるで、噛みつくように現れたノアリは、手首を縛られているにも関わらず、動いている。魔族に突っ込み、逆に頭を押さえられても。


 あいつ、あんな状態で……



「やれやれ。足も縛っておくべきでしたか」


「この……いきなり現れて、私たちを捕まえて……なにをしようってのよ!」


「元気なのは結構。あなたのような若い労働力こそ、我々の欲するものなのですよ」


「っ……」



 魔族は、ノアリを押さえたまま、いつの間にか手に持っていた漆黒の剣をちらつかせる。


 それを、一閃……俺が反応するよりも速く、ノアリの体は斬られた。

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