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復讐の転生者 ~仲間に殺された男は、かつての仲間の息子となり復讐を決意する~  作者: 白い彗星
第6章 王位継承の行方

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次なる国王



 ……次の日……事件は、なんの前触れもなく起こった。



「ヤーク、シュベルト様も! ちょっと早く!」


「な、なんだよ……」



 朝、いつも起きる時間……しかし、今日はそれよりも早く、目が覚めていた。正確には、目を覚ませられた。


 なぜかというと、今俺とシュベルトを引っ張っているノアリの存在だ。ノアリはいきなり、部屋の扉をどんどん叩いて訪問してきた。


 その騒々しさに目が覚め、さっさと扉を開けないと蹴破るぞ……と脅された俺たちは、着替え、ノアリに言われるまま歩いていた。


 まだ寝惚け眼な俺には、ノアリの大声は頭に響く。だが、ノアリの表情はあまり見たことがない……いや、見たことはあるが、それはいつも嫌な場面の時だ。


 『魔導書』事件が、記憶に新しい。青ざめているわけではないが、それに近しい険しい表情。それだけでも、ただ事ではないことが起こっていると、わかった。



「あ、お二方……!」



 ついた先は、食堂。ここに来た理由は、朝食を食べるため……ではもちろんない。いつもなら、そうだが。


 食堂には、ミライヤを始めたくさんの生徒たちがいた。それも、ある一点を見つめて。


 彼らの視線を、辿る。そこにあったものは……



『……私は、過ちを認める』


「なっ……」


「ち、父上……?」



 食堂の壁に、大きく映し出された老人の顔。その顔を見た瞬間、隣にいたシュベルトが目を見開いた。


 それもそのはずだ……なぜなら、そこに映し出されていたのは、シュベルトの父。つまり、この国の現国王なのだから。



「なんだ、これ……なあ、どうなって……」


「わから、ないわ。突然、映像が映し出されて……」



 これは……リーダ様が利用していた、投影魔術。あれに似ている……いや、あれを国王も利用しているのか?


 ということは、この映像は食堂だけでなく、あちこちで放送されているってことだろうか。



「けど、いったい……」


「しっ」


『……繰り返す。以前、我が息子リーダが言っていたことは、(まこと)の事実であると、認める。第一王子として扱っていたシュベルトは、我が第一子ではないと』


「……は?」



 それは……王が、過ちを認めている場面だった。リーダ様の言葉を認めるものとして、シュベルトの出自を誤魔化していたことを、認めていたのだ。


 だが、なんでこのタイミングで? 今まで肯定も、否定もしなかったのに……


 よりによって、国王本人が肯定だと? それは誰が言葉を語るより、真実に溢れている……俺たちにとって、都合の悪いものであろうとなかろうと。



「しゅ……」


「……」



 シュベルトの反応を伺う……話しかけるのもためらわれるほどに、彼の表情は青ざめていた。


 国王への疑念……それを国王本人が肯定したことで、もうどうすればいいのかわからなくなってしまった。



「シュベルト様……」


「……」



 そこへ、神妙な表情を浮かべたアンジェさんとリエナが近寄ってきた。2人とも、もう体は大丈夫なのか……そんなこと、気にしてもいられない、状況だ。


 シュベルトだって、いきなりこんなことになって、どうすればいいのか、わからないだろう。



『ついては……』


「おい、国王がまだなにか……」


「!」



 国王の話は、まだ終わっていない。次になにを言おうとしているのか、注目しているのは俺たちだけではない。


 その口から紡がれる言葉を、聞き逃さないように、しっかりと注視して……



『第二王子であったリーダ……それを真なる次期国王とし、これよりリーダを第一王子として扱う』


「……!?」



 それは、予想もしていなかった……こんな形で、発表されるとは思わなかった、言葉。


 シュベルトが本当に次期国王としての資格がないのでは、とわかっていた時点で、予感していなかったと言えば嘘になる。


 それでも、まさかこんな形で……



「リーダ様が……」


「次期、国王……?」



 生徒たちの中にも、動揺が走る。当然だ……こんな展開、すぐについていけるわけがない。


 その後も国王は、なにか言っていたが……あまりに衝撃がでかすぎて、あまり頭に残っていない。


 放送が終わり……全員の動揺を残したまま。今となって、この場に留まるのは危険な気がして……俺は、シュベルトをつれて離れようとして。



「……!」



 ……生徒全員の視線が、注がれているような、感覚があった。

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