表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/483

超人クラブ 先生のフィアンセ その21

「そうか。呑んでくれるか」

 途端に孝雄の顔がほころんだ。


「実はお前に見合いの話があってなぁ。

 大手お菓子メーカー『星咲』のお嬢さんだ。

 いいとこのお嬢様だ。文句はあるまい?」


「へっ?あの、……要求って、お、お見合いですか?」

 拍子抜けした話に思わずどもってしまう。


「他に何がある。はよう、結婚せい。わしゃ、孫が抱きたい」

「わっ、わかりました。見合いの日時を指定してくれれば合わせます」


 色事が苦手な弘明ならではの慌てぶりだ。

 草々にその場を退散しようとして土下座体制から立ち上がり、くるりと

 踵を返すと、いつの間にか屋上へ上がってきた幹部二人と鉢合わせした。


動揺を隠して慌ててグラサンをかけ直す。

「若、もう帰るんで?」

「うっ、うるさい!若と呼ぶな」

またしても、しなった右手は顔にヒットした。


弘明は痛がる幹部をしり目に、そのままエレベーターホールに行き

中に乗り込んで、階下に降りて行ってしまった。


「おやっさん、若には甘いですねぇ。また、跡目の話しなかったんですかい?」

 もう一人が言う。

強面の孝雄はじろりと二人を睨んだ。そしてため息をついた。


「……似ておるのだ。あ奴、小百合さんに」


 小百合は弘明の母親の名前だ。

「ぐすっ」

 孝雄は鼻をすすり上げた。


「はぁっ……」

「憂いを含んだあの眼で必死になって唇をかんで耐えているのを見ると

 とてもとても跡目の話など出来るものではないわっ!」


「はぁっ……さようで」

「ああっ、小百合さん、儂は本当に息子に酷い事をしておる。

 許してくれ。さゆりーっ」


 孝雄は一人感極まってお-いおいと泣き始めた。

「おやっさんも人の子だったんですねぇ」


 縁台から立ち上がって泣いている孝雄を見ながら

つくづく二人はそう思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ