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超人クラブ 先生(リサーチャーフェイバリット)の実力 その8

「交渉が成立したとみなしてよろしいですか」

先生の声は静かだった。いつの間にか手の平の上にあった火球は

魔法のように消えている。


会長は先生の問いかけに答えず、さきに立って部屋を出る。

後に続いて案内されたのは同じ階の中の一室、

天井も壁も床も何もかもが白い無機質な部屋だった。


病室を思わせるその部屋に、手首をベッドに拘束された佐藤仁がいた。

その姿を認めた先生はベッドに近寄り仁に声をかけた。


「大丈夫ですか。佐藤君」

「……遅いよ。先生」

応じる声に張りがない。

「すみませんね。居場所を特定するのに手間取りました。

 でも、ヒーローは遅れて登場するものでしょう?」

先生はそう言うとベッドのそばの壁にあったナイフ投げの的から

ナイフを一つ引き抜いて仁の手を拘束していたザイルを切る。

「先生がヒーロー?おっかしいーの。」

仁はくすりと笑って憎まれ口をきく。


「私は君が自力で帰ってくると思ってたんですけどね。」

「俺も先生の名前にかけたんだよ。助けに来るってわかってた。

 先生の名前、義は人のふみ行うべき正しい筋道でしょ。」

いつぞやのお返しとばかりそんな事を言って見せる。

「ほんとに?ただ、拘束されて動けなかっただけなのではないのですか?」


痛い所を突かれて仁はそっぽを向いた。

事実、捕まってから逃げ出すどころではなかった。

つかえるハズの超能力は全く発動せず。身体を拘束されたまま

自慢の格闘技を発揮する事もできなかった。

不意を突かれると人間はこんなにも脆いものだと自覚する。

縄は手首に何重にも巻かれていたので切るのに時間がかかった。


「佐藤君、縛られている間、全く、超能力が使えなかったでしょう。

 この縄は対エスパー用につくられた拘束具です。私も一度、縛られた事がある。」


「縛られたってなんで……」

「ラボ時代、打たれた注射のせいで意識が飛んで能力が暴発し

 研究所を三つ破壊したのでお仕置きされました。」

「……先生って研究所にとってもろ刃の剣だったって事?」

「まぁ、そうですね」

仁を助け起こしてベッドのふちに座らせると見計らったように声がかかった。

「感動の師弟の再開は終わったのかしら。リアム・ローレン」


声のする方に顏を向けると奥の部屋の扉から入ってきたアレンと

そのそばには白衣を着た年配の女性が腕組みをして立っている。

赤毛の髪のその女は、明らかに白人で流暢な日本語で話しかけてきた。





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