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超人クラブ アナザー その283

「ふーん。よかったわね。二人ともやっと親子喧嘩出来るようになったんだ」

 二人同時に声のした方に振り向くと義之の細君が部屋の入り口に立っていた。

 彼女は両手にココアの入ったマグカップを一つづ握っている。


「何が良かったですか。ちっとも良くなんかなんかありません」

 からかい口調のひかりの言葉に真顔で返した義之は拗ねるように横を向いた。


「二年前なら、考えられない現象でしょ。でもね、やっぱ聞いてられないわ。なんなのよ。この空気」

「何って」


 二人は、ひかりからカップを受け取りながら顔を見合わせた。

「ストーブつけたくなるほど、寒いんだけど」

「ああ、悪い。エアコンつけようか」

 カップを卓の上に置き、立ち上がった義之のトンチンカンな答えに、ひかりの顏は気色ばんだ。

「ゆき、違うでしょ」

 ひかりは隣に立って、向き合うと両手をのばし、義之のほっぺたを思いっきりつねった。


「いってってて。いきなり何するんですか。ひかりさん」

「ひかりさん。不快にさせてごめんなさい」

 殊勝に頭を下げるアレンを見て、ひかりは苦笑した。

 (アレン)はどこまでも素直だ。


「アレンは謝らなくていーの。アレンだってたまには自分の判断で動きたいよね」

 ひかりはアレンの側に座り直すとサラサラストレートな彼の金髪を撫でた。

 菊留家の養子になってアレンはようやく素直に感情を表に出せるようになった。

 彼がこんな風に変わったのは、ひかりの力に寄る所が大きい。


「だって、ひかりさん。アレンは『癒し手』なのにバレたらどうするんですか」

「あーっ、聞こえん、聞こえん。なーんも聞こえん」

立ち上がったひかりは、わざとらしく両手で耳を塞ぎ、義之に背を向けた。

「ひかりさん」

不満げな義之の声を無視してひかりは言った。


「ゆきはアレンを縛りすぎだよ。そんなことしたらアレンがなんにも出来なくなるでしょ」

「それはそうですが」

「守ってあげればいいじゃないの。ユキには超能力があるんだから」

 のんきなひかりの言葉に義之はギクリとして眼を見開かせた。

 自分が一番信用できない。


 指輪を外して超能力を使っている時に「人を殺せ」と命ずる声が聞こえたら、自分はその声に抗う事ができない。自分の中に眠る狂気(あんじ)がいつ目覚めるかわからない。

 

 義之はひかりにその事を話すことができなかった。

 事実を明かすには自分の前世の暗部をひかりに晒すことになる。

 ひかりには嫌われたくない。


 彼は心もとなげに両手の指先をすり合わせ四つの指輪をみた。


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