超人クラブ アナザー その278
「は? 喧嘩売った相手に「後ろ盾」を頼もうとしてんのか。無理に決まってだろ」
「無理じゃない」
「は? お前何考えて」
裕也の真剣なまなざしに響は口をつぐんだ。
響が今まで大学で襲われなかったのは敵認定されていなかった為だ。
だが、もう、状況は一変した。
湖北の本部は、裕也と響を敵認定し、組織全体に通達したのだ。
だから、湖北と対を成す湖東まで出張ってきた。
周りが敵だらけのこの状況を覆す手段が一つだけ存在した。
前当主、湖北一ノ宮の遺言を盾に取り、裕也が正当な後継者だと主張して襲名披露をすれば形勢が逆転する。
だが湖北湖東、政府関係者。陰陽師に関わる団体を根こそぎ招待するには莫大な費用がかかる。
その費用を捻出するのは容易な事ではない。
だからこそ、財閥の後ろ盾が必要だった。
裕也は、その役割を担う人物として、角田財閥の現当主の実子の名前をあげたのだ。
「大丈夫。絶対うけてくれる」
「はぁー」と息をついて、ちらりと裕也を見た。
またか。と響は思った。
時々、裕也は確定していない事を確定するかのように言う。
そして、裕也の言った事はすべてそうなる。
そば付きになってから、ずっとこの不思議な現象につきあってきた。
それが予知という力になるのか。響にはわからない。
「お前がそう言うならそうなんだろうな」
釈然とせぬまま、響はうなずいた。
「裕也、実は俺、今日、大学で鵜黒衆に襲われた」
「響も?……実は僕も今日、部活中に襲撃にあった」
「そうか……思ったより早かったな。ひと月くらい平気かと思ってたけど」
「そうだよ。こんなに早く学校を特定されると思わなかった」
「……裕也。まさか今回の転校に陰陽師特権を使ったんじゃないだろうな」
「あ……使った。制服注文に」
「それか」
注文先から本部に確認の電話があったに違いない。
雲隠れの二か月の間、裕也は刺客を恐れて学校に通ってなかった。
だから、居場所を特定されにくかったのだが。
今回は高森要を口説き落とすために開成南に転校した。
特権を使った事で本部に裕也が通う学校が特定されてしまった。痛恨のミスといわざるをえない。




