超人クラブ アナザー その277
誰にも内緒の密約。
裕也は、あらゆる修行に耐え、後に湖北一ノ宮から次期当主として指名された。
他者を差し置いて裕也が『一ノ宮』になったのにはそんな経緯があったからだった。
『おい、桜井 響!いいかげん。僕と火竜の守護契約を破棄するように裕也に言ってくれ』
ベッドに落ちた裕也の影から突然、声が響いた。
裕也の周りに靄が発生し、それはみるみる人の形をとった。
気が付けば裕也とそっくりの少年がベッドの端に腰をかけていた。
神鬼の一ノ谷悠斗だ。
『あんた。わかってるんだろう?
このまま僕と火竜が裕也の生命力を喰らい続ければ裕也は廃人になってしまう』
「それはわかってる。俺も守護精霊を二体も抱えるのは無理だと何度も言ってる」
響は苛立たし気にそっぽを向き。裕也も聞こえなかったふりをしてフイと横を向いた。
『ちょっと裕也、横向くなよ。響、あんたもだ。目付け役なんだからもっとはっきり言わないと』
「裕也、守護精霊の忠告は素直に聞くべきじゃないのか?彼らだってお前の命を削りたくないから忠告してるんだぞ」
「響、僕はお披露目までは契約は解除しないよ。」
「しかし、裕也、お前の体はとっくに限界だろ。この微熱だって」
裕也はうるさそうに手を振って響の言葉を遮った。
「ああ、もう好きにさせてよ」
「なぜだ」
裕也は守護契約を打ち切る事を承知せずかたくなに拒み続けている。
2体にこだわる理由がわからない。
本部を敵に回した以上お披露目なんか無理に決まってる。
仮に自分たちで仕切って襲名披露をやったとしても。
「裕也。お前、「相方」の承諾も得られず「後ろ盾」の目星もついてないんだろ?」
「そうだけど……後ろ盾の目星はつけた」
つけた?つけたって?
「…そうか。それは誰なんだ」
「だから、角田財閥の次男。角田 護」
響は驚いて裕也の顔をみた。




