超人クラブ アナザー その275
「一ノ宮なんかになるもんやない。好いた女の一人も守れんようなもん。なる価値あらへん」
「好いた女……?」
「そうや。今日はその女の葬儀や」
「それは、僕のかあさんの事か」
「……ボン。真奈さんのお子か?」
「そう、真奈は母さんの名前だ」
「そうか、……ボンは平気なんか?」
裕也は口をつぐんだ。
自分の母親が亡くなって平気な子供がいるはずがない。
つんと鼻の奥がいたくなり涙がこみあげてきた。
「平気なわけない!」
「…‥聞き方が悪かったなぁ。ボンはソレにまとわりつかれて平気なんか?」
「……え?」
「その足元に居るのはスネコスリという妖や。人の生気を喰らう」
スネコスリという妖。一見して猫にしかみえない。裕也は眼をしばたいた。
「どれ、滅してやろう」
「やめてよ!この仔、悪い事してないだろ」
裕也は声を荒げて、子猫を抱き上げ一ノ宮にくるりと背をむけた。
「そうやって、なんでも殺そうとする。ただ、生きてるだけで。罪になるの?」
「そうや、人間に害を及ぼすものは皆、害虫、害獣になる。人間はそう云う傲慢な生き物や。
綺麗な蝶も野菜を食い荒らせば害虫、ミツバチだって信号機に集団で止まれば駆除されるんや」
「そんなの、おかしいよ」
「それを渡しなさい。お前には害や」
「嫌だ」
裕也は子猫を抱えたまま呪を唱え目の前の池に投げ入れた。
池の表面がスウッと凪いだ。
裕也はタッと走って水面に躍り出た。




