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超人クラブ アナザー その264


湖北の忍びは陰陽師の術も習得させられる。

奥義を極めるほどではない。ほんの手ほどき程度だ。

だが中には奥義を極める者もでてくる。

ヒロトはその内の一人だ。


響は立ち上がろうとしたが思うように動けない。

足に受けた傷は思ったより深かった。


ここまでか。自分はここで死ぬのか?

響は死を意識した。


陰陽師の組織は国家権力に絶大な発言権を持つ。しかも治外法権だ。

組織の中のもめ事はすべて内々に処理される。

例えそれが殺人であっても、警察が介入する事はない。


それほど、特殊な団体だ。

「闇ガラスさん。ごくろーさん。もう行っていいよ。響は僕が始末する」

ヒロトの言葉に頷き三人は姿を消した。


ヒロトとは一緒の釜の飯を食い修行した仲だ。

アップダウンの激しい山野を走り、岩のごろごろ転がる渓谷で剣を交えた事もある。


「君は馬鹿だね。裕也様についたりするから。こんな目に合うんだよ」

「ヒロト、お前が刺客として送り込まれてくるとは思いもしなかった」

「フッ。解らないの?送り込まれたんじゃない。僕から志願したんだ」

「志願?……なぜ」響は眼を見開かせた。


「ほんとにわからない?僕はあんたを憎んでたんだ。これで気兼ねなくあんたを始末できる」

「なぜだ。俺達いいライバルだって言われてたじゃないか?」

「ふん。笑わせるな。おこがましい。僕の方が格段に成績は上だった」


その通りだ。組み手、剣技、弓、射撃。手裏剣を投げる技量さえ響は何一つヒロトには勝てない。

「なら、なおさら、俺を憎む理由なんかないだろう」

「お前は一ノ宮様を独占した。それが許せない」

一ノ宮とは葛城裕也の事だ。


「裕也様はなぜ優秀な僕ではなくお前を目付け役に指名したのか」

「指名……?」


指名だったのか。俺にとって裕也は陰陽師の術を教わるためのただの教師だった。

一ノ宮。次期当主という立場は理解していたが、それ以上の感情は持ち合わせていない。

裕也がおれを指名したのだって「単に見知った者」だったからだと容易に推測できる。



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