超人クラブ アナザー その262
同時刻----。
大学の授業を受講し終えた桜井響は大講を出た時点で誰かに付けられているのを認識した。
じっと背後から注がれる視線。後ろを見てるわけでもないのに気配はわかる。
これは鵜黒衆として、中学、高校時代にさんざん修行させられた成果だと言える。
歩を速めて階段を駆け下りる。同じような速度で相手が追ってくる。
二人、いや、三人か……。大仰だと響は思った。
相手は学生か?それとも教師?全く大学とは関係ない一般人に身をやつした誰か。
滑稽だ。鵜黒衆としての響の戦闘能力はそんなに高くない。
なぜ、こんなに人員をさくのか。響には理解できない。
殺気みなぎる彼らの様子から一戦交えるのは仕方ない。
走りながら響は、もうすぐ取り壊されるはずの大学の旧校舎へとむかった。
周りの学生に犠牲を出したくないとの思いからだったが、正直、三人を相手にするのはキツイ。
体が一般人の生活に慣れすぎてしまったのだ。
鈍った体でどこまで彼らと渡り合えるのか。響には焦りしかなかった。
立ち入り禁止の綱を飛び越え、ビルの中に入った途端シュッと響の耳を小柄が掠めた。
立て続けに五つ。それらをすべて避ける事が出来ずに左の太ももに突き刺さった。
相手の動きを止めるために足を狙うのは常套手段だ。
ついに響の足は止まった。
「くっ」
窓際に追い詰められた響は低くうめくと、刺さった小柄を引き抜いた。
足から勢いよく流れだした血液を両手で抑えたが止血になるはずもない。
はいていたデニムのジーンズは血に染まっていく。
投げた犯人はニヤけた笑みを浮かべながら、日の当たらない柱の影から姿を現した。
落ちた小柄を拾い上げた相手を見て響は眼を見開かせた。




