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超人クラブ アナザー その260
弓道場を辞した葛城裕也はサギの姿を探して道場の裏に回った。
まだ、サギは動かずにそこにいた。
のんきに木の上で羽繕いをしていたサギは裕也の姿を認めてピタリとその動きを止めた。
サギが口を開いた。漏れたのは重低音のバリトンボイス。良く響く人間の声だった。
「お久しぶりでございますな。裕也さま」
「ほんとに久しぶりだね。伊吹、まだ。僕に敬称を使ってくれるんだ」
「貴方さまは時期後継者でいらしゃいますから」
鵜黒衆の頭領はしらじらしい言葉をはいた。
「よく言う。僕のバディにあんな無礼を働いておいて」
サギに話しかけた裕也は口元に二本指をたてて呪を唱えた。
「界を隔てよ。結」
唱えた呪をサギに向かって投げた。呪は形を成さずに崩れ落ちた。
サギは三度羽ばたくと人に姿を変えて木の枝から飛び降りた。
裕也の前に立つ忍び装束の男は、四十がらみ。鍛えられた肉体はがっしりとしていかにも逞しい。
口元を頭巾に覆われていたが鋭い眼光からよほどの手練れである事を予感させた。
鵜黒衆は格闘技のプロ。陰陽師のボディガードだ。
政府の要請で動く事が多い陰陽師は時として暗殺のターゲットになりやすい。
銃やナイフの扱いに慣れ、格闘技を身に着けた彼らは文字通り体をはって陰陽師を守るのだ。




