超人クラブ アナザー その250
結局、勝敗はつかずじまいだった。
何事もなかったかのように部活は再開され、弓道場の隅っこで高森要と葛城裕也は部活風景を見学した。
角田先輩と引き分けた事がよほどショックだったのか。
裕也は終始黙りこくってうつむいていた。
部活も終わりに近づいた頃、気を取り直したらしくようやく口を開いた。
「やっぱり要の側って落ち着くなぁ。周りの空気が清浄になる」
伸びをして眼を閉じてそう呟いた。
「……」
空気が清浄に?
俺は空気清浄機じゃないんだけど。
陰陽師の感覚って今一よくわからない。
一般人には不思議ちゃんにしか思えない言葉を紡ぐ。
「ねぇ。要、要は僕の事きらい?」
隣の椅子に座っていた裕也はふいに俺の顏を覗きこんで、真剣な口調で問いかけてきた。
……嫌いではない。ただ、苦手なだけで。まわりにはこんな奴いなかったし。
『いや、別に』と答えようとしてふと思った。
『嫌い』って言ったら裕也はどうするんだろう。
泣くのかな。
目的があるとは言え、こんなに熱心に追っかけてくるのは好きだからに違いない。
嫌いって言われたら当然、いい気持ちしないよな。
「嫌いとかそんなんじゃないよ。少し苦手なだけだ」
「そっか。苦手なんだ。別にとって食べたりしないよ」
陰陽師は鬼か何かなのか??
彼の変なジョークにちょっと笑ってしまった。
裕也のアーモンド形の瞳が細くなり口元が綻んだ。
人なっこい裕也がなんだか可愛く思える。




