超人クラブ 幕間 雨の日は相合傘で その8*
カウンセリング室で資料整理をしていた先生は言った。
「佐藤君、傘もってきたんでしょう」
「とーぜんですよ。こんな地方に住んでるんだから。角田は確信犯だな。
傘に入れてって言えば履いて捨てるほど入れてくれる女はいるだろうに。
高森も気が付かないのが凄いと思うが」
言いながらカバンの中から自分の折り畳み傘を出した。
「結局、角田は高森と相合傘がしたいって事なんだよな。素直じゃないな」
「高森君、苦労しますね」
笑いながら話していたらガラッと扉の開く音が響いた。
眼を見開いた二人。話を聞いていたのか仏頂面の角田護がそこにいた。
「おや、角田君」
「どうした。角田。高森に振られたか?」
「違いますよ。振られてません。譲ったんです」
「譲った?」
「そうですよ」
「譲ったって誰に」
「水田まり子さんです」
佐藤仁はおかしそうにぷっと噴出した。
「へぇ。譲ったんだ。お前にしては上出来じゃん」
「なんですか。僕だってそんなに鈍感じゃありません」
高森要が水田まり子の事を憎からず思っているのは知っていた。
だから、さっさとその場を辞したのだ。
「だから、先輩」
むくれたように差し出された右手。
佐藤仁は気づかぬふりで。
「なんだ。角田?」
「さっきの傘。返して下さい」
「態度悪いな。学園一のプリンスが。可愛らしさがたりないぞ」
「もう、意地悪言ってないで返して下さいよ」
「折角だから角田。俺と相合傘で帰ろーか」
「お断りします」
「あはは、お前ほんとわかりやすいよな」
「どういう意味ですか」
「相合傘は高森限定って、はっきり言えば?」
「そんな恥ずかしいセリフ言えません」
「あはははっ」
机を叩いて笑ってる仁を前にぷりぷりと怒っている護をみて、菊留先生はつぶやいた。
「高森君、ほんとに苦労しますね」
超人メンバー三人でこんな話をしているとは夢にも思っていない。いつまでも鈍感な高森要だった。




