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超人クラブ 幕間 雨の日は相合傘で その6

その日の夜、勉強を教わるため、角田家を訪問すると玄関口。

パステルピンクのドレープ生地をバックにカサブランカが20本ほど生けてある花器の横。

藤色の蛇の目傘が開いて置いてあった。

足元からあてられた照明器具の効果で一層美しさをましている。

ホテルの客を出迎えるロビーのように豪華な演出だ。


「あっ、俺の傘」

「うん。なかなかいいだろ?この演出」

「……はい」


まったく先輩は人を喜ばせるのがうまい。

装飾品として使うこんなのも有りだと思った。


翌日の夕方はやっぱり雨になった。

部活帰りに先輩が言った。

「高森、傘持ってるかな。また人に貸してしまって」

「先輩。そう言うだろうと思ってハイ、これ」

俺は手下げに入れて持ってきた二本目の折り畳み傘を差し出した。

「さすがだな。高森」


受け取った先輩はカウンセリングルームの方へ歩いていく。

ガラッと戸を開けて。

「佐藤先輩、傘忘れたって言ってましたよね。これ、どうぞ」

「え、角田、俺、そんな事」

「言ってましたよね」

剣幕に圧されて佐藤仁は「あっ、うん」と返事をしていた。


「じゃ、僕たち先に帰ります。お疲れ様でした」

そう言って先輩は生徒用玄関の方に足早に歩いて行った。

後を追っかける俺。


「先輩はお人よしですね。その癖直さないと損しますよ」

「高森がフォローしてくれるから大丈夫だろ」


先輩はそう言って笑った。

今日は風景が霞む霧雨がひそやかにふっている。


いつまでたっても雨の日は相合傘だ。

俺は嘆息しながら先輩に傘をさしかけた。


カウンセリング室で資料整理をしていた先生は言った。

「佐藤君、傘もってきたんでしょう」

「とーぜんですよ。こんな地方に住んでるんだから。角田あいつは確信犯だな。

 傘に入れてって言えば履いて捨てるほど入れてくれる女はいるだろうに。

 高森も気が付かないのが凄いと思うが」

言いながらカバンの中から自分の折り畳み傘を出した。


「結局、角田は高森と相合傘がしたいって事なんだよな。

 ちゃんとそう言えばいいのに。素直じゃないな」

「高森君、苦労しますね」


笑いながら二人がこんな話をしているとは夢にも思ってない。

いつまでも鈍感な高森要だった。


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