超人クラブ 幕間 雨の日は相合傘で その5
その日、俺は自分用には絶対買わない高級な傘を注文した。
一回分のお小遣いじゃ到底足りない額だったけど、藤色の蛇の目傘。
綺麗な色に魅せられて、先輩のイメージにぴったりだと思ったから奮発してしまった。
誕生日当日は日曜だったので先輩をファミレスに呼び出し、ラッピングした傘をプレゼントした。
「はい、先輩、これ、お誕生日おめでとうございます」
「ありがとう。高森」
傘を見て先輩は笑顔になった。
心から嬉しそうだった。
翌日、月曜日は。やっぱり夕方から雨になった。
下駄箱の所で靴を履き替えまっているとやってきた先輩は言った。
「高森、傘持ってるよな。今日も相合傘で帰ろう?」
「えっ、先輩、傘あげたじゃないですか。アレどうしたんですか」
「もちろん、家に置いてきた」
はぁ~。おいてきたぁ~???
「だって、あんな高級な傘、さすのがもったいないから」
俺は呆れた。
もったいないという感覚が先輩にあるとは思わなかった。
「って言うんですよ」
翌日、カウンセリング室で佐藤先輩相手にぐちっていると佐藤先輩は笑いながら言った。
「お前ねー。当たり前だろ。そんな高級感あふれる和傘、学校にさしてくるわけないだろ」
「でも。俺、良かれと思って」
「まっ、今回は角田が正しい。
置き傘してたら誰に使われるかわからん学校でそんな高価な傘もってこれないし、第一重いし。もっと軽くて安くて身軽な折り畳み傘じゃないと」
「なるほど」
納得はしたが、やっぱり不満が残る。なんのために買ったのやら。落胆はひとしおだった。




