超人クラブ 菊留先生の憂鬱 その十八
「笑いすぎです。佐藤君」
菊留先生は、軽く俺を睨んで注意する。
「……すみません」
続けて先生は智花の使った言葉。
『烏の濡れ羽色』について英語で説明を始めた。
もともと国語教師なのだから知識はあるのだろうと理解できる。
だが、なぜこんなにもしゃべる英語に淀みがないのか。
教科書もみずにすらすらと英語をしゃべる。
先生は外国に住んでいた事でもあるのか。首をひねるところだ。
「Hi,Tomoka.(智花さん)、They say “hair, Nurebairo of crow”
(烏の濡れ羽色って)I was used as a word
that epithet the hair of a black glossy women.
(女性の美しい黒髪の事を言う誉め言葉ですよ。)
Is not used for men(男性には使いません)」
「It is the image of black Speaking of crow,
(烏 からすといえば真っ黒というイメージですが)
but its wings looks (よく見るとその羽は)
very glossy purple and blue,(紫や青)
and green and look closely.
(緑などの光沢を帯びて見えます)
This is because it ……」
ここまで説明して菊留先生は怪訝な顔で智花を眺めた。
それまで大人しく机に向かって先生の説明を聞いていた智花に変化が起きていた。
智花の体はまるで糸の切れた操り人形のように不自然にかくんかくんと
折れ曲がり脱力した状態で机の上に突っ伏した。
あまりにも突然だった。
「……これは、寝ているというより……」
先生は智花の手を十数センチ持ち上げて落としてみる。
手はぱたりと机に落ちた。
隣に座っていた俺は別段に驚きもしなかった。
これが授業中の智花スタイルだ。
智花は一時限終始このままで過ごし終わりのチャイムと同時に立ち上がって
皆と一緒に礼をする。
途中必死になって英語の坂田先生が起こそうとするが智花は全く反応しない。
この状態は中学の授業からで学校中で噂になり一種の名物になっていた。




