超人クラブ アナザー その241
部屋の入り口に立っていたのは角田先輩だった。
「やぁ、角田君、いらっしゃい」
気さくに声をかける先生。
「あ、高森、ここにいたのか」
「角田先輩」
俺は先輩の声を聞いて安心した。
聞いただけでほっとする。癒される。
今日一日、水田まり子はよそよそしかった。この世界で彼女と俺は幼馴染じゃないのか?
なんで初対面みたいになってるんだろう。彼女の他人行儀な態度に気がめいる。
ストーカー裕也の事を割り引いても、俺は何かに癒されたかった。
先輩の声を聞くのは今朝ぶりだ。
さんざんダシに使ったくせに俺は、一週間前からわざと先輩に会わないように行動していた。
あの日の事を思い出すとどうやって顏を合わしていいかわからなかったのだ。
だが先輩は気にする様子もなく俺に話しかけてきた。
「今から一緒に部活に行こう。今日、見学していくだろ」
そうだ。今からいくつもりだった。
「はい。行きます。ちょっと休憩させてください。俺、つかれちゃって」
突っ伏した机の上から先輩の顏をチラ見した。
先輩は弓道着を身につけている。部活のために早々と着替えてきたらしい。
あれ、なんだ?先輩に色気を感じない。あまりにも普通な様子に俺は眼を見開いた。
どういう手品だ。先輩に色気を感じるときと感じない時がある。
先輩は怜悧なという形容がぴったりの眼差しで俺を見た。
あ、最初に会った時と同じあの眼だ。
先輩の屋敷で会った時の柔らかさがまるでない。
家と外の違いなのか。
気が緩んだ時だけにでる『何か』っていう事なのか?
俺は困惑気味にまじまじと先輩の顏をみつめた。
「どうした。高森、僕の顔に何かついてる?」
「いいえ、別に。じゃ、行きましょうか」
答えて立ち上がった。
二人一緒にカウンセリング室をでて弓道場の方に向かった。
体育館の並びに立つ弓道場の射場には床板が張られていた。
角田家のものと比べれば格段に広く6人が同時に射る事が出来る。
静かなはずの弓道場は騒がしかった。
そこにいた部員たちは弓道着を身に着けていない一人の男子生徒と何やらもめていた。




