超人クラブ アナザー その234
「え?」
「高森から離れろ!」
「お断りします」
裕也は即答した。
先輩は裕也を睨みつけたまま口元に二本指を立てて何かを呟き彼に向かって手を一閃させた。
裕也は瞬時にその場を飛びのいた。
さながら液体が飛散したかのようだった。
裕也が立っていた床のタイルにどす黒いシミができ、シューシューと音を立てて煙が上がっている。
変色したタイル。立ち上がる水煙は否が応でも周囲の目をひく。
「こえっ、何、アレ」
「オレ、見た事ある。陰陽師の技じゃね」
周りのざわめきをよそに先輩は再び口元に二本指を立てた。
二度目の攻撃は佐藤先輩に阻まれた。
背後から音もなく近づいた彼は角田先輩の手首をつかんで動きを封じていた。
「止せ、角田」
「佐藤先輩!放して下さい。アイツが高森に何をしたか」
言いながら角田先輩は佐藤先輩の腕から逃れようと必死にもがいていた。
裕也は慌てる様子もなく平然と言ってのけた。。
「無謀な人だなぁ。僕がまともに技を返したらどうするつもりだったの?皆ただじゃすまないよ」
尚も攻撃を続行しようとする角田先輩の両腕をがっちり掴んで佐藤先輩は言った。
「落ち着け、角田!ここでけが人を出すつもりか?」
「……いいえ、そんなつもりは……」
先輩は視線を床に落とした。
「すみません。つい、カッとなって」
「わかってくれたのならいい」
佐藤先輩は角田先輩を束縛から解放するとくるっと周りを一瞥した。
俺達を囲むように立って様子を伺っていた生徒たちは好き勝手な憶測を並べて声高に噂しあっている。
「何だ。お前ら、見世物じゃないぞ。早く散れよ」
周りの生徒に怒鳴った後。
「角田、ちょっとこい、話がある。あ、高森また後でな」
と言って先輩の腕をとると俺達から離れて行った。




