超人クラブ アナザー その209
正人は、褐色の肌のまだ少年のような裕也の相貌を思い浮かべた。
猫っ気の髪。二重のぱっちりした目元。片頬にえくぼを浮かべて笑う彼。
そんな事情を抱えていることなど微塵も感じさせなかった。
丸締ランドで襲撃されて彼は無事だったのか。
あのジョロウグモを退治したあの日から、裕也は正人の事務所に顏を出していない。
彼が事務所に現れてから二か月の月日を無駄に過ごしたことを少しばかり残念に思った。
もっとはやく弟子にして色々教えてやればよかった。
いまさらのように正人は悔いた。
一人大岩の上で物思いにふけっている突然、足元にでかい石が落ちてきた。
咄嗟に避けて顏を上げると義之と要が空中でバトルを始めた所だった。
「あっぶないなー。義之」
「なんですか」
返事を返した義之は一回転して地上に降り立った。
「君には私の安全を確保しないと向こうに帰れなくなるって認識はないのか!」
「申し訳ないけど自分の身は自分で守って下さい。今の私には余裕がありません」
言いながら義之は要が自分に向けて放った衝撃波を右手で薙ぎ払った。
払われた衝撃波は近くにあった岩を粉砕した。
「……やっぱり協力するんじゃなかった」
正人の言葉に義之は苦笑いしたが、実際、彼を気遣うだけの余裕はなかった。
能力者の高森要は片手間にバトルのできる相手ではない。
一瞬でも気を抜けば要の放った衝撃波で自分は吹っ飛んでしまうだろう。
要が仕掛けてきた序盤の攻撃だけでその事がわかる。
高森要は類を見ない強力な超能力者だった。




