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超人クラブ 菊留先生の憂鬱 その十三

20世帯が同居する2DKのアパートの外階段を上がって自分の借りている二階の角部屋まで行こうとすると、そこに4人の主婦らしき人たちがたむろしてぺちゃくちゃとおしゃべりをしているのが見える。


軽く頭を下げてドアの前に立ち部屋の鍵を開けようとして話しかけられた。


「あの、貴方、菊留義之さんですわよね」

「……はい、そうですが」


改めて相手を見る。バタフライ型の細身の眼鏡をかけた恰幅のよいご婦人がじろじろと値踏みするように遠慮のない視線を送ってくる。

選外品の太い大根を思わせる足にこれでもかというような、ものすごく高いハイヒールを履いている。

足を踏まれたらさぞかし痛いだろうと勝手に想像した。


「あの、何か……」

「あなた、被害届を提出なさるそうね」

「被害届……」

『 ああっ』と合点する。

相手は訴えられる側の親らしい。

「あのね。あの子たちは受験生なんですのよ」

「そうらしいですね」

「らしいって貴方、それがどういう事かわかっていますの?」

「わかっていますよ」

「あの子たちの将来に傷がつくじゃありませんか」

「……。」

「被害届を取り下げていただけないかしら」

「そうですよ。ほんの出来ごころなんですから」


横から細身の神経質そうな眼鏡をかけたおばさんが突っ込み入れる。

自分の子供たちがしでかしたことをも謝りもしないで一方的に要求をつきつけてくる。


「……なるほど、この親にしてこの子ありですか」

「まっ、どうゆう意味ですの」

「言葉どおりですが」

「あなたねぇ、うちの子も殴られたんですからおあいこでしょ」

「そうよ、そうよ、取り下げなきゃ障害で訴えるわよ」


あいては図に乗ってエキサイトしてくる。

隣の部屋の住人が何事かとガチャリと戸を開け顏を出したが四人組にじろりと睨まれて慌てて扉を閉めた。


「あの、そこどけてもらえませんか?何もお話しすることはありませんので」

押しのけてドアの前に立とうとすると中に入る事を阻まれる。

仕方なく携帯を取り出し警察に電話をかけようとすると携帯を奪われ電源を切られてしまった。


「返して下さい。携帯」

「被害届、取り下げなさいよ。さもなきゃこうしてやる」


取り上げられた携帯は地面にたたきつけられガシガシとハイヒールで踏まれあっけなく大破した。


「器物損壊、刑法第261条3年以下の懲役または30万円以下の罰金」

ぼそりと呟く。

「えっ、何?なんですって?」

よく聞こえなかったのか相手が大声でわめく。


「申し訳ありませんが迷惑なので帰っていただけませんか」

「何を言っているの?貴方が被害届を取り下げるというまで絶対、ここをうごきませんからね」

「不退去、3年以下の懲役または10万円以下の罰金」

呟きがきこえなかったのか再び相手はわめき散らす。


「何を言っているのかよくわからないわ」

「……四人で騒いでいれば、聞こえないのもどおりですね」

法律に疎そうな主婦四人組にどうやってこの場をお引き取り願おうかと考えているとパトカーのサイレンの音が聞こえてきた。


パトカーはアパートの敷地に泊まり、中から警官二人が降りてきた。

どうやら近所の住人が通報してくれたらしい。

警察登場に主婦四人組はビビっていたが大人しく連行されていった。


別件での事情聴取にうんざりしながらも事情を説明またしても後日改めて警察署に出向くことになった。




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