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超人クラブ 菊留先生の憂鬱 その十二

次の週.月曜の授業が終わった放課後。

佐藤仁と菊留先生は仲良くそろって警察署に出頭した。

先生は被害届を提出する旨を警官に告げた。

額に負った傷は四針縫う程度の怪我で済み縫った次の日から洗髪OK

抗生物質なし。痛み止めが出た程度の軽いものだった。

ただ、この日に診断書は間に合わなかったので抜糸する一週間後に

ドクターから診断書を貰ってあらためて被害届の手続きをする運びとなった。


「そうですか。では、被害届の提出には判子が必要ですので、は判子を持参してください」

「はい、承知しました。」

「意外でしたね。救急車を断ったからてっきり届を提出しないものと思っていましたが」

「ええっ、ちょっと思うところがありまして」


菊留先生は彼の生徒に咎められた事は言わずに穏やかな笑みを浮かべて言葉を濁す。


「では、後日改めて手続きに来てください」

「はい、お世話をかけます」

「いえいえ」相手は先生の言葉に相好そうごうを崩した。


警察署をでて先生が運転する車の助手席に乗り込んだ仁は改めて先生に話しかけた。


「先生はどうして、被害届を出そうと思わなかったんですか」

「それは……」

中坊あいつらの将来を心配して?」

「親だったら、提出してほしくないんじゃないかと思って」

「俺もそう思ったけどあいつらは中三なんですよ。

 受験の事も考えないで人襲うとか、馬鹿すぎですよ」

「それはそうですね……」


 暫くして先生はふふっと笑う。

「その人を知りたければ、その人が何に対して怒りを感じるかを知れ」

「……なんですか、それ」

「私の大好きな漫画に出てくる主人公のセリフです」

「漫画よりももっと教師らしい格言言ってくださいよ」

「とってもらしい言葉だと思うんですが……ほんとに君は解りやすいですね」


むくれる仁に先生は言う。

「さあ、つきましたよ。今日は特別です。次は送りませんからね」

「特別って、先生、駅までじゃないですか」

車はいつも仁が乗る駅の停車場に泊まった。

「君は若いんだから歩きなさい」

「せんせーのケチ」


悪態をつきながら車をおりる仁に先生は軽く手を振ってから車を発射させた。


そのまま自宅に走らせる。

今日は警察への事情聴取という事で残業は無しだ。

借りているアパート付属の駐車場に車を入れ

階段を上がっていくとざわざわとした人の声が聞こえてくる。


自分の部屋の前にたむろするおば様軍団を見て

菊留先生は小さくため息をもらした。

予感は的中した。



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