超人クラブ 菊留先生の憂鬱 その十一
雨がぽつりぽつりと降り始める中パトカーのサイレンが公園の周りに鳴り響いた。
騒ぎに気が付いた近所の住人が警察に連絡したらしい。
公園の付属の駐車場に二台のパトカーが止まり車の中から警官が二人ずつ降りてきた。
しかし、事が終わってから警察が到着するとか遅すぎる。
そう思ってベンチの方を見ると菊留先生は二人の警官から事情聴取を受けていた。
名前を名乗った所で全員派出所に連行。
勿論、中坊軍団も一緒だ。
事情を聞かれ、警察を呼んだ第三者の証言により、とりあえず俺と先生は後日警察署への出頭することを条件に放免された。
出血している頭を見て、警官が救急車を呼ぼうとしてくれたがなぜかその申し出を先生は断っている。
二人並んで派出所を出たが、穏便に断るその態度に腹をたて俺はしばらく先生と口を聞かなかった。
「……佐藤君?怒っていますか」
「怒ってますよ。どうして救急車呼んでもらわなかったんですか」
「……」
「先生は悪くない。一方的に殴られてただけだし」
俺ははっと気が付いた。
「まさか、傷勝手になおしたんじゃ」
「いや、まだです」
「へぇ、まだ、なんですね」
にやりと笑うと先生の腕をがしっと掴んだ。
「佐藤君?」
周りに誰もいないことを確認してそのまま救急医療病院の搬送入り口まで飛ぶ。
「えっ……わっ、驚いた。君は空間転移能力者なんですね」
「違うよ。俺はオールマイティ、先生もいっしょだろ?」
「まぁ、そうですけど……私は君が超能力で助けに来ると思ってました」
「やたらと使わないようにって先生言ってたじゃないですか、だから俺」
赤面して口ごもる。
「素直なんですね」
微笑む先生に俺は無言で病院をゆび指す。
「……」
「診断書取ってきてください。
先生 俺、少年だったらどんな事も
許されると思って気軽に犯罪を犯す学生が大っ嫌いなんです」
「……被害届の提出ですか」
「少しは痛い目見た方があいつらのためですよ」
「ほんとに前任の担任はよく君の事を見ていますね。
正義感の塊。君は全くぶれない」
「お世辞なんかどうでもいいです」
「わかりました。明日、被害届を提出しましょう」
先生はそう言うと診察を受けるために病院の中へ入っていった。
やっぱり先生はお人よしだ。俺がしつこく言わなければ何事もなかった事にしてしまうつもりだったらしい。
「やれやれ、全く」
一人ごちた俺はふっとため息をついた。




