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超人クラブ アナザー その165
「裕也、次はもっと静かな乗り物でたのむ」
「うん、じゃあ、次は観覧車で」
言いながら、園内ガイドのパンフレットを開いて眺めていると
前方から猛スピードで走ってくる高校生くらいの男子二人組が見えた。
彼らは後ろに数人のギャラリーを引き連れている。
すれ違って裕也はぴたりと足を止めた。
「どうした。裕也?」
「……ん。今の二人。良い気を纏ってる」
「……先頭の男子二人か」
「うん。特に右の子」
「湖北一宮か?」
「いや。違う。あれは修行したものの気配じゃないね」
「どっかで見た顔だな。あっ、右側にいたのは高森要じゃないか」
「高森要?」
「昔、朝ドラの子役で結構人気あった」
「知らない」
湖北一宮の本部は隔絶された山の中にある。
田畑を耕す自給自足の生活。
テレビという娯楽は当然排除されていた。
裕也が芸能関係の話を知らないのは仕方がないといえる。
「裕也は世情にうといんだな」
「当然だよ。文明の利器の無い生活してたんだから」
里を離れる事になってようやく、携帯を持たされた程度なのだ。
彼は正真正銘の情報弱者だった。




