超人クラブ アナザー その163
「やっぱり高森ちゃんじゃないのぉ。久しぶりィ。
ネェ、ネェ、高森ちゃーん。君の写真いつとらしてくれんのよ」
突然、遊園地の入り口でおねぇ言葉で話しかけられて、高森要は充分戸惑った。
「あ、あの、誰ですか」
相手は背の低いおっさん。やたらド派手なアロハシャツを着てジャケットを
羽織ってるもののなんとなくチャラい雰囲気が全体からにじみ出ている。
「やぁだ。ちょび髭カメラマンの秋野省吾だよーん。僕の事覚えてない?」
当たり前だ。こっちの世界のカメラマンなんて覚えているわけない。
「刺されたって聞いたけど、外出OKなの?おや、マブイのつれてんじゃん」
「ちょっと、近寄らないでくださいよ。事務所から聞いてないんですか?
当分、活動休止するって」
「つれないわねぇ。きいてないわよ。そっちの美形いいねぇ。一緒の絡みで写真撮らしてちょーだいよ」
「お断りします」
「僕さぁ。手垢のついたアイドルにあきあきしてんだよね。たまにはフレッシュな子が撮りたいのよ」
「俺も充分、手垢ついてますけど」
「たぁかもりちゃんは別格。僕の好みの顏だし」
言いながらソイツは俺の腕を取りさわさわと触り始めた。
わあああっ!嫌悪感マックスだ。
「触らないで下さい!」
思いっきり拒否るとそいつは顔に手を伸ばしてきて俺のキャップとグラサンをとり上げた。
「あ、ちょっとやめて、返して下さい!」
まずい、まずい、まずい!俺の頭ン中で警報シグナルが鳴り響く。
途端に周りのギャラリーが騒ぎ出した。
「あっ、高森要だ」
「ほんとだ。あいつ、生きてたの?意識不明っていってなかった?」
「やーん。実物、かわいい!」
パシャパシャと取られるシャッターの音。
忘れてた。覚えのあるデジャブな風景。
あーっ、めっちゃ逃げたい。
「やってらんない。逃げよう。角田先輩」
俺はいきなり先輩の手を握り一緒に走り出した。
向こうの世界だと先輩のギャラリーだけどこっちの世界だと俺目当てのファン。
どっちの世界でも追っかけられることに変わりはなかった。




