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超人クラブ 菊留先生の憂鬱 その六

ツーブロックマッシュの髪形に銀縁の眼鏡をかけ身長は170もないだろう。

どちらかと言えば細身で華奢な感じの彼は双瞳そうとうに強い光を宿して、その場に仁王立ちになり睨み返してくる。


「怖いな、仁君、そう睨まなくても」

彼の態度がポーズである事はわかっていてもとりあえずテンプレ通りに言葉を返す。

「先生、名字で呼んでもらえませんか。僕は」

不機嫌そうな彼の声を遮って言葉をかける。

「面白いね。君は口に出すときは僕で思考の中では俺」

佐藤仁ははじかれたようにその言葉に反応して改めて私を見た。

超能力者は自分だけと思っていた彼は、心から驚いているようだった。


「……ふーん、先生もテレパスなんだ?」

「そう、私も超能力者なんですよ」


言い直したのには理由がある。使える能力が精神感応一つに留まらないからだ。

初めて彼を見たとき、彼の纏う生体エネルギーが他人とは違うように感じた。

それが何なのかよくわからなかったが、今その理由がはっきりした。

彼は自身の生態エネルギーを変幻自在に変えることができる。

私は、変化をキャッチして彼が他人と違う事を認識したのだ。


思考に耽っていると目の前でピンポン玉がさく裂した。

立て続けて四つ、慌てて避けたが破片は、かばった右腕にいくつか刺さった。


「……知りませんでしたね。ピンポン玉が凶器になるなんて」

腕に刺さった破片を抜き、変化させ、元のピンポン玉に

復元してみせた。指でなぞった腕の傷も目の前でみるみるうちに

治癒させた。リミッターふたつ外せば造作もない事だった。


「へぇ、先生はそんな事も出来るんだ」

「ラボではリサーチャーフェイバリットって呼ばれていたからね」

特別な反応はなかった。彼はラボの被験者ではないのか……。

ただ単に前世の記憶がないだけなのか。

もし、天然の超能力者だとしたら、相当珍しい存在だ。


「ねぇ、先生、俺とバトルしてよ」

彼は自分の持つ力を試したくてしょうがないらしい。

私に対する口調ががらりと変わった事に興味を覚えたが返事をせずに黙っていると彼は再び臨戦態勢に入った。

右手を伸ばし精神を集中させる。

途端に地面あった幾つものも小石がうきあがり彼の右手の周りで静止した。

彼はそのまま真っすぐ、こちらに飛ばしてきた。

スピードが速い。攻撃を受ければダメージを食らう事は眼に見えている。

跳躍して放たれた小石を避け彼の眼前に降り立って片手でのど元を捉え

そのまま松の木に押し付けた。


勝敗は瞬時に決した。

「満足しましたか?佐藤君」

彼は降参というように両手を上げ、頷く。

見た目より、過激な性格に驚いたが、得てして人間とはこんな物かもしれない。

それとも、彼の年代に在りがちなただの無鉄砲なのか。



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