超人クラブ アナザー その120
『……一人暮らしだなんて嘘つきだね。裕也』
足元におちた影が裕也に言った。
一人暮らしは嘘だった。裕也には目付け役がついている。
「うるさいよ。君こそ。お兄さんの前じゃ子供のふりをして嘘つきじゃないか」
『うそなんかついてない』
「しってるよ。霊体でもこの世に留まれば少しづつ成長するんだ。
君が十歳の子供なわけないだろ」
『さすがは陰陽師』
「悠斗、君はいくつになったの?ほんとなら二十歳のはずだよね」
足元から靄が発生した。それはみるみる形を成す。
最初は十歳くらいの子供の姿になった。次に形が崩れ靄が伸びた。
それは裕也と同じくらいの背格好の青年になった。
「ふっ、すごいや。君はホントに僕に似てるんだ」
パッと見、自分によく似た青年を前に裕也は感嘆の声をあげた。
二重の双眸に日焼けした肌、彼は片頬にえくぼを浮かべて言った。
『そうだよ。だから、兄さんに取り入るのは簡単だっただろ』
その声音すらまねているのかと思えるほど似ている。
正人は希代のブラコンだ。
その弟に似ているとあれば簡単に心を許すのは眼に見えている。
「取り入るなんて人聞きの悪い」
『この二か月、君の人の悪さは把握した』
「へぇ、そうなんだ。ぼくは君が言うほど酷くはないつもりなんだけど。
もう黙ってくれない?そろそろ響が返ってくる」
部屋の外に人の気配を感じて裕也がそう言うと、悠斗は彼の影の中に再び消えた。




