超人クラブ アナザー その110
「湖北一宮、当主。葛城……そうか君は東北の……。私を騙したのか」
「とんでもない。ただ、かつらぎの性を名乗った時、どんな漢字かお尋ねになりませんでした」
「尋ねなかったから、名乗らなかったと?」
「はい」
「裕也君。契約ってどういうモノなのですか」
義之は裕也に尋ねた。
立ち上がって裕也は言った。
「僕と出会った時、悠斗君は成仏できず、人の魂を喰らう鬼になりかかっていました」
十年間、何人もの人魂を喰らってこの世に留まり続けた。
彼は鬼となっても兄の正人のそばにいたかったのだ。
「僕は彼が完璧な鬼人になる前に彼の願いをかなえ、代わりに自分を
守護する者になってくれるように契約を持ちかけたんです」
人を守護する者になれば鬼にならずに済む。
「その彼の望みとは?」
「彼に二カ月間生身の体を貸す事」
その契約が今日完了すると裕也は言った。
「ほんとうか?悠斗」
悠斗は眼を伏せてうつむいた。
「じゃあ、君が弟子になりたいと言ったのは」
「あれは本心です。僕は名ばかりの当主で実績も実力もない。
高名な一ノ谷先生の弟子になり力をつけたいと常々、思っていました」
正人は裕也を何も知らない高校生だと思っていた。
「はっ、なるほど、私はまんまと一杯食わされたわけだ」
「申しわけありません。でも僕は騙す気など毛頭なかったのです。
お気に障ったのならお許し下さい」
「……お兄ちゃん。ごめんなさい、ぼく、どうしてもお兄ちゃんのそばにいたかったんだ」
「悠斗」




