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超人クラブ アナザー その96

記憶にあるのは血の海に横たわる弟の姿。

その弟の腹に顏を突っ込んで血肉を喰らう一人の女。


強烈な吐き気を覚えた。

胃液がぐっとせりあがってくる。

亡くなってから10年もたつというのにその場面だけは鮮明に覚えていた。


自分には何もできなかった。

クモの巣に捕らわれ身動きならず。

自分はただ弟が喰われていくのを目に焼き付けつけるしかなかった。

父親が助けに来たときは遅かった。

弟はすでにこと切れていた。


「悠斗……」


正人は、口元を手で押さえ吐き気をむりやりねじ伏せて呪を唱えた。


「我は命ず。我が眷属にして我を守護するもの。

 汝の名はミント。桂木裕也を守れ」


足元に落ちた自分の影がゆらりとゆらいだ。

闇はみるみる形をなす。それは子牛ほどもある真っ黒な猫の姿になった。

尻尾がふたまたにわかれている。猫は黄金こがねに輝く瞳で正人を見て答えた。


「久しぶりだな。わっぱ、ぬしの願いは聞けぬ」

「なぜだ」

「儂が守ると約束したのは主のみだ。裕也は主の眷属ではない。守る事はできぬ」

猫又は言いたい事を言うと目の前から消え去った。

「ちっ」


正人は舌打ちした。

守護獣の言う通りだ。

裕也を弟子にしてない状態では眷属とは言えない。

今更ながら自分のどっちつかずな態度に腹がたった。

なぜ、はやく裕也を弟子にしてしまわなかったのか。

そうすれは自分の守護を裕也に付けてやることができたのに。


今回のように危険な事に巻き込むのが嫌だった。

だがどうだ。結局彼を巻き込んでしまった。


自分はまた同じ轍を踏むのか。

裕也を失う事になるのだろうか。

正人の思考が絶望の淵に立った時。


ジーンズの尻ポケットにつっこんだスマホがなった。

景気のいい軍艦マーチ。

とっさに手に取りデイスプレイを見る。

相手の名を見るや否や操作しスマホに向かって叫んだ。


「義之!助けてくれ、頼む」

わずかな沈黙の後答えが返ってきた。


「……承知しました。しかし、どうなっても知りませんよ」

電話口の相手はやれやれというふうに返事を返してきた。


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