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超人クラブ アナザー その80

「佐藤先輩」

意を決したように角田先輩は言った。


「僕の短慮が彼を危険なめに合わせてしまいました」

「角田、反省してるのはよく解ってるよ」

「でも、わからないんです。なぜ、彼は僕をかばったんでしょう」


そうだった。俺は多岐に絡まれ、多岐から俺を引きはがそうとした角田先輩が

ナイフを抜き放った多岐に刺されるかもしれないと思って間に割って入ったんだ。


結果、先輩が刺されなかった代わりに俺が重傷を負ってしまった。


「僕は多岐がナイフを握っているのを見ました。

 充分よける自信はあったんです。なのに彼は」

「角田」

「なんですか」

「高森はお前に怪我してほしくなかったんじゃないのか」

そうだ。怪我してほしくなかった。


「僕に怪我がなくてよかったと……高森はそう言いました」

「つまり、そういうことなんじゃないのか?」


「だから?」

「お前が人間全般を嫌ってるのは知ってる」

「……はい」

「超人クラブに無理やり所属しているのも」


「…‥」

「でもさぁ、お前の嫌ってる人間の中には高森みたいな奴もいる」


「……」

「毎年ある話だけど、角田」


「はい」

「例えば、お前の目の前で子供が河で溺れてたらどうする」

「浮き輪なげて119に通報します」

クスッと佐藤先輩は笑った。


「すげー模範解答、流石だな」

「茶化さないでくださいよ」


「でも助けに入って溺れる人もいる」

「バカですよ。なんで助けに入ろうとか思うんですか」


「確かに馬鹿だと思う。けど、

 でも、俺はこんな話を聞くたびに人間捨てたもんじゃないなって思うんだ」

「英雄視ですか?」


「いいや、そんなつもりはない。馬鹿だと思う。

 でもそんな馬鹿な事をやるのも人間で、助けに入る人の気持ちもよくわかるだろ」

「……少しわかります」


「きっと、いても、たってもいられないんだ。

 死んでほしくない人が目の前でおぼれていたら」

角田先輩は黙っていた。


「だから、高森もさぁ。そういう気持ちだったんじゃないかなって事」



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