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超人クラブ アナザー その76

高森要が移動した先は学校の屋上だった。

そこで彼は両手で頭を押さえひざまづいていた。

半開きの瞳は濃い疲労を宿している。


不安が胸をよぎった。

ラボ時代の光景がよみがえる。

薬で無理やり能力を引き出され凶暴になった被験者は

理性の抑止が効かなくなり、次々と研究者を血祭りにあげ、衝撃波で建物を破壊した。


その予兆は脳に狂的なまでの激痛を伴うという。

今、要の頭の中は激痛が走っているはずだ。


「高森君、大丈夫ですか」

こめかみに汗が光っている。

おそらく、生身の方は全身が汗だくになっているはずだ。

『……』

要は問いに答えず眉間にしわを刻んで目をつぶっていた。

体が小刻みに震えている。

オーバーワーク一歩手前。


要のそばに行き肩に手をかざした。

熱い。オーラが暴走をはじめている。


先生は幽体の要を自分のオーラに包み込んで一次的に彼の能力を封じた。

荒かった呼吸が幾分整ってくる。


それを確かめてから彼の魂を抱き上げ自分自身に結界を張った。

これで他人に姿を見られる心配はない。


『……せん‥せ…い?』

「全く、君の能力は危なっかしい。見ていられません」


それだけ言うと先生は要の足から伸びる光の帯の方向を見定めた。

南高より東南2キロ、巨大な病院が見える。その方角にあるのは泉総合病院だ。


その建物の二階あたりから要めがけて真っすぐ伸びる光の帯。

先生はビルの屋上伝いに要を抱えたまま、その帯を辿って走り出した。


瞬間移動するのは簡単だ。

だか、これ以上、要に負担をしいる超能力を使いたくなかった。

走った帯の分だけ光の長さが縮んでゆく。


自分の足元にだけ力を集中させて、

バウンドしながらビルの屋上を移動していく先生の姿は、

さながら現代版忍者と言ったところだろうがその姿は誰にも見えない。


先生は要を抱えたまま隣のビルから泉総合病院の二階のベランダの上に降り立った。




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