超人クラブ まくあい
丸ビルの地下牢。オープンセットにて。
例のごとく、エタる病にかかっていた紫雀は
簡素な机の上にのったパソコンに向かってしきりに何かぶつぶつ唱えていた。
お経のように聞こえてくる言葉はこれである。
「ごめんなさい。ごめなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」
「紫雀さぁーん、一体誰に向かってあやまっているんですか?」
「げっ、泉加奈子。なんでこここに、いきなり後ろから現れるなんて卑怯者」
「卑怯だなんて失礼な言い草ですね。せっかく清月の和菓子もってきてあげたのに」
「わーい、うれしい。ありがとう」
泉から和菓子の袋を受け取ろうとしてひょいと袋を持ち上げられてスカッをくらった。
「あーん。ひどい。食べたかったのに」
「そのまえに、一体誰に謝ってたんですか?」
「えっ、いやぁ、あの、あのね。泉ちゃん。台本が書けないわけよ。
だから、読者の皆様にこのように平に謝って」
「大丈夫よ。紫雀。もう、呆れられて読みに来る読者様もいなくなってるから。
謝る必要すらないのよ」
にっこり微笑んで泉は言った。
『がーん』紫雀は頭を鈍器でなぐられたようなショックを受けた。
「だって、ほらっ、アクセス数もほとんどないじゃないですか」
「……」
「前から思ってたんですよね。
超人クラブって趣味に走って書いてるからそのうち飽きられるんじゃないかって」
「パシッ!」泉の頭に台本がふってきた。
泉はちゃっかりよけた。
「こら泉、ほんとのこと言っちゃダメだろ」
佐藤先輩が渋い顔で言った。
「あーっ、ごめん。傷ついた?」
「泉ちゃん。飽きられるなんて、飽きられるなんていわないでぇ~」
「ごめん、禁句だったわ。ごめんね」
「泉!とどめをさしちゃだめだろ。エタったらどうするつもりだよ」
真顔で角田先輩が言った。
「ほんと、ごめーん」
泉は笑いながらぺろりと舌をだした。
紫雀はすきを狙って泉から和菓子の袋をひったくって食べ始めた。
「あっ、何するんですか」
全部食べ終わってから言った。
「あー。おいしかった」
なんだか元気になったらしい。
「よっしっ、頑張ってかくぞー」
調子よくカタカタとパソコンを打ち始める。
「立ち直り、はや!食い物につられるなんて安っ!」
超人クラブの面々があきれ果てていると紫雀は鼻歌まで歌い始めた。
まあっ、もともと、こんな作者ではある。
当面エタる心配がなくなったので暫く見守る事になったスタジオスタッフは
番組が続くことにほっと胸をなでおろすのだった。




