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超人クラブへようこそ その21

「会えないとはどういうことなの。昨日もそう言ったわね。私は護の親なのよ。

 2日続けて会えないなんておかしいでしょ。アナタ訴えてやるわ。職権乱用よ。

 医師免許剥奪して、医学会から追放してやる!!」


主治医らしきドクターを捕まえて物騒な事をわめく40代後半の女性。

彼女の独特のキンキン声が、病院の総合受付のあるホール中に響いている。

今日は日曜なので通常業務は行っていないが喫茶や売店などは開いており面会人や

入院中の動ける患者、喫煙コーナーに降りてきた人などの注目を集めるのに十分だった。

売店で漫画雑誌を買ってエレベーターを待っていた高森要は、護という名前に反応して騒ぎの方へ顔を向けた。

あの人が角田先輩のお母さんなのか。


昨夜、泉は角田先輩が入院した事をメールで知らせて来た。

入院先は泉総合病院だという。彼女が医者の娘であることを昨日初めて知ったのだった。


まだ、ホールでわめき散らしている女性に向かって高校生くらいの女の子が近づいていく。

泉だった。本日のいで立ちは花柄の清楚なブラウスにひざ下まである黒のグラデーションの入ったレースのスカート。フェミンな服装がとても似合っている。


その姿を認めた所で、耳もとで声がした。

「今日の所は泉さんに任せてわれわれは病室にあがりましょう」

ドキリとした。

「!!、せんせい……忍び足で近づかないで下さいよ。

 あー、驚いた……。」


「別に忍んできたわけじゃないんですが……。

 君の反応は至って普通で本当にほっとしますね」

「意味わかりませんけど」

「そのうち、わかりますよ」

菊留先生はにっこり笑って答えた。


降りてきたエレベーターに一緒に乗り込んで

五階にあがる。508号室、名札は上がっていなかった。

先生は,病室の前まで来て中に入ろうとしない。

そして左右に伸びる長い廊下を眺め左斜め上の隅から視線を外さない。


「……どうしたんですか」

「いや、何でもない……です」


そう言うと角田先輩のいる病室の方を振り返る。

「ふむ、この件は案外、すんなりカタが付きそうです……。」

先生はまたしても意味不明な事を呟く。


ノックして中にはいる。扉は車いすでも入るようにワイド設計だ。

自動で閉まるドアをそのままにしてベッドに横たわる先輩を見る。

事情はだいたい泉のメールで理解した。

こういう場合一体なんと声をかけたらいいんだろうか。

言葉につまる。


「やぁ、角田君、気分はどうですか?」

先に声をかけたのは菊留先生だった。

先輩は、食事を胃が受け付けず、朝から点滴を受けている状態だった。

気分のいいはずはない。


「はい、大丈夫です」

「あっ、先輩、コレ、お見舞い」

そう言って買い求めた漫画雑誌を渡す。

「ありがとう、そこのテーブルにおいてくれ」

先輩の言葉に頷いて本を袋ごと置く。そのテーブルの上には花が飾ってあった。


入院したばかりなのに用意がいい。泉が手配したものなんだろう。

不謹慎な話だが、ここまで泉に心配してもらえる角田先輩がちょっとだけ羨ましかった。


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