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超人クラブ アナザー その1

天災は忘れた頃にやってくるというが人災も同じだと俺は思う。

そして、俺の場合の人災は俺自身の能力によるところが大きい。


最近あまりにも安定した状態で今の世界に留まっていられたので

俺はついつい安心していた。

そして、愚かにも、安穏と時を過ごし現在の状況を招いてしまったのだ。


ある土曜の午前中、人気のない空き地で俺は佐藤先輩と組み手をしていた。

組み手というのが正しいかどうか解らない。

空手というにはほど遠い先輩の繰り出してくる拳。

佐藤先輩の武闘にこれといった法則のようなものが感じられないのだ。


「高森、お前さぁ、本気で武術習いたいんなら菊留先生に教わった方がいいと思うぞ」

右に繰り出された前蹴りを右手で受けて右に流しながら俺は言った。

「なんでですか」

「先生はちゃんと基本勉強してるみたいだからさ」

「でも、先輩だって強いって言ってたじゃないですか」

会話してる間も容赦ない猛攻。かわして受流す。

「まぁ、実際強いわけだが。俺のは喧嘩が高じた奴だしな。

 ほらっ、高森サイドがら空き」


言ってる先から先輩の拳が顏をかすめて、

とっさに避けた俺はバランスを崩して倒れこんだ。


「つっ、痛ぇ、先輩、今、本気出したでしょう」

「本気出さないと、お前も本気でかかってこないだろ。

 それじゃ稽古にならないじゃないか」

「それはそうですけど」


佐藤先輩は攻撃をやめて俺に右手を差し出した。

捕まって立ち上がる。


「ありがとうございます」

「お前さぁ、なんで格闘技覚えたいと思ったの?」

「なんか、必要かなって。最近思うようになったんです」

この時点で俺にはなんの予感もなかったのだが……。

「ん。じゃ、今日の所はコレでしまいな。また気が向いたら相手してやる」

「どうも、ありがとうございました」

「うん。またな、高森」


後ろ姿で手を振りながら去っていく佐藤先輩を見送った。

あの時までは、確かに俺のいた空間だった。

俺自身が存在していたあの空間だったのだ。



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