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超人クラブ 桜花恋歌 その42
「ずるいじゃないですか。先輩、何で笑ってるんですか。
俺だけ泣くなんてズルイ……。」
うつむいて涙を拭った。
「たかもり、……ありがとう」
先輩は木霊の手を振り払って、ふわりと渡殿を飛び降りた。
受け止めようとして伸ばした両手。
羽のように軽い先輩の体重。
ぎゅっと抱きしめてスカをくらいひざまづいた。
先輩の羽織っていたかつぎを虚しくかき抱いて、
……角田先輩の気配が消えた。
「あっ、うそ、なんで……!」
あたり一面……舞い散る花びらで薄紅色に染まって景色が霞んだ。
俺は狼狽えた。
さっきまで目の前にいた先輩が腕をすり抜けて消えてしまった。
「イヤだ。こんなの、嘘だ!」
地面に拳を叩きつけた。
「こんなの、夢だ。返せよ。先輩を返してくれよ」
せんぱい、どうして消えたんですか。先輩。せんぱい。
気が付くと俺は枝垂桜の古木の前で絶叫していた。




