超人クラブ 桜花恋歌 その34
「今回は任せるって」
「任せるって……大丈夫なんですか」
「言うと思った。俺って高森に信用ないのな」
「だって、神様というか妖怪みたいなものを相手にするって事ですよね。俺と先輩だけで」
「そうだけど」
「俺、勝てる自信ありません。やっぱり先生がいないと無理かも」
正直に不安を口にすると佐藤仁はふっと笑った。
伊達メガネの奥の切れ長の瞳がきらりと光り不敵な笑みを浮かべている。
仁は顏から眼鏡をはずしてティーシャツの襟首に引っかけ俺と向き合った。
「俺の能力見くびるなよ」
そう言って彼は俺の手を握りこむと自分の生体エネルギーを送り込んできた。
体が浮いてくるような錯覚を覚えるエネルギーの奔流。
全身を包むオーラが一気に燃え上がったような感覚にとらわれてカッと身の内が熱くなった。
「すごい……。熱いです」
「他者に自分のパワーを与える能力。これ、ブースターって言うんだけど、
やろうと思えば超人クラブ全員ができる業だって菊留先生が言ってた」
仁はそう言って俺の手を離すと一旦、自分のオーラを引っ込めた。
今度は握りこんだ手を何かを解き放つように無造作に振って見せた。
弧を描いてコンクリートの地面にバチバチと火花が散る。
「先生と俺はほとんど同じ能力を持っている。違うのはパワーと経験だ。
どうだ。高森、少しは頼る気になったか?」
「……はい」
「お前の能力を増幅させるのが今回の俺の仕事。
今日、智花と泉は足手まといになりそうなので参加しない。それは知ってるよな」
先輩に言われて頷く。
「よし。リベンジだ。高森、角田の魂、取り返しにいくぞ」
「……はい」
佐藤仁は満足そうにうなずいて、再び俺の手を握りこむと
今度はダイレクトで桜の樹のある角田先輩の別荘まで飛んだ。




