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超人クラブ 桜花恋歌 その32

深夜、両親が寝静まり、隣の姉の部屋の明かりも消えたのを確認して。

身支度をして戸を開け、抜き足差し足でこっそり玄関口までやってくると


「かっなめちゃん。どこ行くの?」

「ねーちゃん」


トイレに立ったらしい姉と鉢合わせした。

「えっ、いやーっ、あのぉ、そのぉ」

しどろもどろの返答に姉は意味深に微笑んだ。


「いいのよ。かなめ、皆まで言わなくて」

「……?」


「角田君の所に行くのね。」


鋭い。鋭すぎる。

なぜ、わかったのか謎だが概ね間違ってはいない。

だが、しかし、一体、何でわかったというのだろう。

姉に超能力はない(ハズ)だ。

今までの経過全部知ってて言ってるとは到底思えない。

姉は両手を組み合わせ祈るように目を閉じて悲しそうにいう。


「角田君、意識不明なんですってね。お気の毒に……。

 心配で心配で思わずかけつけるその気持ち、わかるわ」


「……ねーちゃん。また変な恋愛小説読んでるだろ」

 俺はむっとした表情でそう言った。


「いいえ、別に」

「うそつけ!」


姉が後ろに隠し持った小説を取り上げて表題を見る。


モテモテぱらだいす……

果たして美咲はモテモテの彼を独り占めする事ができるのか。

ラストにアッと驚く大どんでん返し。貴女は奇跡を目の当たりにする。


文庫本の帯にそう書いてある。

なんだ。この小説。主人公が意識不明にでもなるのか?


姉は読書家だ。恋愛小説限定で……。


題名からして変すぎる。

トイレに持って入るとか、恋愛小説どんだけ好きなんだ。

俺は本を返してため息をつくと、めちゃくちゃ覚め切った目で姉を見た。


「ねーちゃん。言っとくけど、そーゆーのとはぜんぜん違うから」


確かに先輩の所には行くけど、

木霊と命のやり取りをする緊迫した場面……。

しかも先輩の命は俺の働き一つにかかってるというとんでもない状況だ。

それどころか、俺の命だってどうなるのか解らない。

恋愛小説とごっちゃにしないで欲しい。


俺はうつむき加減で靴を履きガチャリと扉をあけた。

「じゃ、行ってくるから」

それだけ言うと扉を閉め、エレベーターホールへと向かった。

姉に向かって冗談を言う気分には到底なれなかった。



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