超人クラブ 桜花恋歌 その28
「桜花荘って……皆どうやって来るつもりなんだろう」
「それは、もちろん」
そう言って泉は上目遣いに先輩をみた。
「えっ、もしかして、ぼっ、僕が案内するの?」
「あったりー」
「どうせ、先輩はその日に拉致られるわけだし、
いろいろ対策講じて待ち受けた方が手間が省けるって菊留先生が」
「えっと、ちょっと、ちょっと、待って。
それって一方的過ぎるっていうか。……愛がないっていうかー。」
「愛って……必要ないと思います」
神妙に回答する泉。
「それはそうだけど……」
ちらりと先輩は俺をみた。
「たかもり、お前も何とか言えよ」
なぜか先輩は俺に意見を求めてきた。
「俺が口挟む余地なんてありませんよ。それに、せんせーが言ってましたよ」
「えっ、何って?」
「私の予知は外れた事がないって」
そう、菊留先生の予知は外れた事がない。
つまり百パーセント先輩は日曜日に神隠しにあう。
俺がその言葉を言った途端。
部屋全体が紅に染まってゾワリと背中に寒気が走った。
前身の震えが止まらない。
……なんだ。コレ……。
いつまでたっても部屋全体が紅いままだ。
泉も同じだったらしい
彼女は両手で口元を抑えカタカタと震えている。
大きく見開かれた眼は先輩の後ろの壁を凝視していた。
何だ。一体何が起こっている。
夕暮れ時の赤とは違う。どろりとした紅黒い何か……。
三人しかいないはずの部屋の中に他の『何か』がいる違和感。
湿り気を帯びた空気が部屋の中へ入ってくる。
それが先輩の座っている席の後ろの方から流れてくる。
その流れに乗って何かがハラハラと舞い飛ぶ。
花びらだった。
薄紅の花びらが何枚も何枚も。
まるで、窓から吹き込んでくるかのように部屋の中に散らばって。
だが、実際には窓はあいていない。
そこは窓ですらない。壁の向こうには先ほど歩いてきた廊下があるはずだった。
「先輩、後ろ!」
先輩は椅子から立ちあがって後ろを振り返った。




