超人クラブ 桜花恋歌 その21
「ともかく、角田君。君の体には桜の精がつけた数字がついています。
その数字がどう変化するか。風呂上りに見ておいて下さい」
「……この数字、変化するんですか?」
「はい、たぶんカウントダウンするんじゃないかと思います。
月なのか、日数なのか、時間なのか見極めたいので、お願いしますね」
「はい。わかりました」
「じゃ、私たちはこれで帰ります」
「じゃな、角田、高森、また明日」
軽く手を振ってニコッと笑う先生と佐藤先輩。
俺はその言葉にギョッとなった。
さっきの俺の質問で角田先輩は一気にトーンダウンしてしまった。
一緒に帰りたい、ここで先輩と二人だけは気まずい。
先生は俺の気持ちをわかっていたはずだ。だって精神感応者なんだから。
でも『一緒に帰りますか』とはいってくれなかった。
菊留先生も佐藤先輩も、
着た時と同じように瞬間移動してかき消すように目の前からいなくなった。
『嗚呼……先生のいじわる。佐藤先輩のスカタン!』
その姿を見送って俺は心の中で思いっきり悪態をついた。
「高森」
見計らったように角田先輩から声がかかる。
「なんですか?」
「今日はもう帰ってくれないか。気分がすぐれなくて」
「……はい。今日は帰りますね」
俺は畳においてあったスマホを回収しカバンにしまって
挨拶をしてから屋敷を辞した。
先輩は学校では始終ご機嫌に振舞う癖に
側に誰もいなくなるとあからさまに気持ちが顔に出る。
俺の返事によほど落胆したに違いない。
先輩はかつて見た事ないほど沈んだ顔をしていた。
家に帰ってから勉強が全く手につかなかった。
俺はベッドに寝転ぶと天井を眺めて暫くの間、
先輩の言った『セミのお墓』の事を考え続けていた。




