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超人クラブへようこそ その14

「あーっ、お腹すいた」

集会のあった駅まで帰ってきてようやく泉が口をひらいた。

「あのさ、泉って、毎回救急キットもってるの?」

「持ってない。緊急集会限定」

「ふーん、手際いいな」

「だって、いつも皆、傷だらけになるもの」

「緊急集会っていつもこんなことやってんの?」

「……いつもじゃないけど」

泉が医者を目指す理由がなんとなくわかる。


「泉って角田先輩の事、好きなの?」

「うーん、好きとかじゃなくてほっとけない感じ」

泉は一つ咳払いをして胸を張って宣言した。

「だって先輩は私と一緒にいないと早死をする」


俺は噴出した。

「何、それ、有名漫画のセリフ丸パクリじゃん」

「高森君、一年前の先輩を知らないから、泉好みにプロデュースしてようやく今の先輩がいるの」


プロデュース?それって一体どういう

「だって、先輩って黙ってれば、ただの美形で通るのに口を開けば毒舌家で、人生投げてる風な目つきは最悪だし、死ねって命令されたら素直に死んじゃう本当に残念な人だったんだから」

「泉、人を欠陥商品みたいに言うな」

随分ないわれ様に抗議する先輩。


「わかる、わかる、角田君はキックアスだよね、いい意味でも悪い意味でも」

「智花先輩、 英語苦手じゃなかったんですか」

「英語は苦手よ、でも菊留先生の厳命じゃ、勉強せざる負えないの」

「卒業がかかってるから仕方なくね」

横から佐藤先輩が突っ込みを入れる。


「ほんとに良かった。皆でこんな会話が出来る様になったんですね。一年前には考えられませんでした。教師冥利につきます」

思うところがあるのか、菊留先生までそんな事をいう。


みんなの屈託なく笑う声を聴きながら

ほんとは皆なにか一癖あるんだろうとなんとなく察した。


解散する前に「お腹減った」という泉の提案を受け入れてファーストフード店に寄ることになった。

レジにならんでそれぞれメニューを注文し番号札を貰って席に座る。

量が多いので店員ができ上ったものを運んできてくれた。


菊留先生は席に座るなり自分の手荷物の中から布にくるまれた数珠を取り出し

「智花さん、はい、これ、ほとんど残っていませんが」

と言って、駅の構内でばらけた数珠の残りを大山先輩に差し出した。

「あちゃーほんとに残ってませんね。球は割れてるみたいだしちょっと、みんなのブレスも見せてくれる?」

言われて、全員が腕にはめたブレスを外して大山先輩に渡す。


「あっ、ひびが入ってる。これ角田君の?佐藤君のも入ってるわ。まぁ、近い所にいたからしょうがないわね」

先輩はブレスの球をくるくる回しながら一つずつ丁寧に確認している。

「そういえば、智花さんは一番遠い所にいましたね」

「当然よ、君子危うきに近寄らずでしょう?」

「智花先輩、ずるい、般若心経、唱えなかったでしょう泉は一生懸命唱えたのに」

「そういえば、俺に真言唱えろって言って終わったような」

「あははっ、だって、司令官は指令だけだしてればいいでしょう?」

あの場を仕切ったのはどうやら大山先輩であるらしかった。


「あの残留思念、消えたんですか」

「たぶんね、身代わりの数珠とブレスが3つダメになったから満足したんじゃないかな」

「満足?」

「うん、あと三人って言ったんだよね、加奈ちゃん」

「あっ、そうです」

「まっ、今後あそこで飛び込み自殺がなくなればOKじゃない?」

ふーん、そんな風に判断するのか、なるほどそれはそうと


「俺、みんなに相談したいことがあって」

「相談?何かな?」

「俺の能力、平行世界に飛ぶ能力なんですよ」

「うん、先生がそう言ってたね」

「俺の能力、ほっとくといつ発動するかわかんないらしいです」

「……それって制御できてないってこと?」

「そうみたいです」

「うーん、こういう話はね」


大山先輩はちょっと考えてから佐藤先輩に声をかけた。


「佐藤君、こっち来て相談にのってあげたら?

 どっちかっていうとエスパー系の話だよね、これって」


話を振られた佐藤先輩は眼鏡を中指で直してこっちをみる。

そして右手を軽く上げてすっと右に払った。

手の動きと一緒にジュースのカップが一つ浮き上がり宙を移動しながらゆっくりとこちらにやってきた。

先輩が手を下すとストンと下に落ちテーブルの上に載った。

魔法でもみているようだった。


話に聞いていたけど実際の力を目の当たりすると驚愕するほかはない。

先輩自身は、席を立ってこっちのテーブルに移動してきた。


「相談もなにも、こういう能力は自分の意識下において制御するしかない。

 無意識に使ってるから暴走する羽目になる」

「どうやって意識下に置くんですか?」

「俺も苦労した口だけど」

先程のジュースを口に運びながら佐藤先輩は断言する。

「修行して、めちゃくちゃ使える様にするか、封印して使えなくするかの二択」

「そうなんですか」

「でも、高森の場合、使える様にするにはどんな世界に飛ばされるかわからないリスクがあるし封印するにしてもなんか怖いものがあるしな」

「……」

「今の所は対処法はないんじゃないのかな」

先輩は絶望的な事を口にしてくれた。


「まぁ、まぁ、そういわず、対処法はおいおい考えるとして今日のところはそろそろ解散しましょう」

大山先輩に数珠の代金を清算した菊留先生が話に割って入った。

テーブルのかたずけを終えて店を出る。

「次回の集会はまた連絡しますね」

菊留先生の言葉に頷くと皆ちりじりの方向に散った。


「さよなら」

「またね」

「じゃ、また」挨拶も短い

他の先輩方と別れた後、俺は駅の方角に消えた泉を追った。

どうしても聞きたい事があった。


「泉、ちょっとまって」

改札を抜けようとする泉にかろうじて声をかける

おどろいて振り返る泉、手にしていたのは定期だったので、そのままで出口方向の改札を抜けて帰ってきてくれた。


「どうしたの、高森君」

「ちょっといいかな、まだ、暇ある?」

「うん、いいけど」


泉の手を引いて、近所の公園に移動して質問した。

「あの、泉と角田先輩の関係が知りたいんだけど」

「えっ、ああっ、いいけどどの辺から?」

「どの辺って」

「言っとくけど一年、二年のつきあいじゃないから」

「そんなに?」

「うん結構長いよ」

「じゃあ、最初から」

「うん、わかった。ここは泉バージョンでひとつ昔話をしてあげます」


泉は偉そうにそういうとコホンと一つ咳払いした。

俺はなんとなく居住まいを正した。



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