超人クラブ 桜花恋歌 その7
「高森、封印なんて、なぜ、そう思ったのか理由をきかせろよ」
「……夢を見たんです」
「夢?」
「古木の枝垂れ桜の前で角田先輩がいなくなる夢」
「……そうか。それで角田にその話したの?」
「はい」
「角田、笑ってただろ」
「そうですよ。一笑に付されてしまって」
真剣に言えば言うほど滑稽な話だ。
だがこの話を聞いた先生と佐藤仁の顔はちっとも笑ってなかった。
「だろうな」
「俺、先輩と話してるうちに気づいたんです」
「何を」
「消えるのは先輩じゃなくて俺じゃないかって」
「なるほど。お前の能力なら消えるのは高森ってことになるよな」
正確には並行時空に飛んだ時点で向こうの俺と入れ替わる。
だから、この世界にも俺はいることになる。
だが記憶は共有してないから、不都合が起きる。今は学生だからまだいい。
しかし、成人してお互いの職業が違ったり、未婚、既婚の差がでてくれば、
パニックになって通常生活すら、ままならなくなるだろう。
「俺、もう、この能力に振り回されたくありません」
銀行員の菊留先生に出会った時のあのショック。
きっと誰にもわからないに違いない。
「君の気持はよくわかりました。
能力を封印したいのであれば、やり方を考えましょう」
そう言って先生は微笑した。
「お願いします」
「ところで高森君」
改まった先生の口調
「その夢の話、もう少し詳しく話してくれませんか」
そう言われて俺はのろのろと身を起こし先生と向き合った。




