超人クラブ 桜花恋歌 その6
「酷い顔してますね」
放課後、カウンセリングルームに現れた俺に菊留先生はそう言った。
結局、すきっ腹と寝不足がたたって七時限まで授業を聞くことが出来ず
四時限目でリタイアし三時間ほど保健室のベッドで寝る羽目になった。
それでも寝たりないのか、眠気が襲ってきて、
目つきがしっかりしない上に、頭痛がする。
ガラッと扉が開いた。
「あっ、高森、ここにいたんだ」
俺は机に突っ伏したまま目線だけで先輩の顔を見た。
「……角田先輩、今日は勘弁して下さい。さっきまで俺、保健室で寝てました」
「……わかった。今日はもう帰ればいいと思う」
それだけ言うと先輩は部屋から出ていった。
真面目な先輩の事だ。きっと部室に向かったに違いなかった。
「珍しいですねぇ。角田君が事情も聴かずに引き下がるなんて。
二人の間に何かあったんですか」
俺が口を開こうとしたその時、
カウンセリングルームの扉があいた。
「ちぃーっす」
そう言いながら顏を出したのは佐藤先輩だった。
「おや、高森、珍しいな。お前の方が先に来るなんて」
佐藤先輩は部屋に入ると突っ伏したままの俺の隣に座った。
「なんかあったのか?」
「オレ、自分の能力を封印したいです」
「どういう事ですか?」
驚いて尋ねる先生に俺は言った。
「俺はもう、この世界から移動したくないんです」
俺の真摯な態度に
二人とも、しばらくの間沈黙していた。
その沈黙を先に破ったのは佐藤先輩だった。




