表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/483

超人クラブにようこそ その13

菊留先生を取り巻いていた黒い霞は跡形もなく消え去っていた。

空気が浄化されたのかあたりに爽やかな風が吹いている。


佐藤先輩が引き上げた男の人はすぐに立ち上がって誇りを払ったりしていたが

角田先輩が引き上げた女の人はもろに自分の体重を先輩の体に預ける形になって

勢い余って二人とも壁に叩きつけられたので暫く立ち上がる事ができなかった。


俺と泉で「大丈夫ですか」と声をかけながら助け起こそうとするが、壁にしこたま背中をぶつけた先輩は傷みのあまり起き上がれていない。着物の前もはだけ草履も片方脱げている。


女の人は、自分を助けてくれたのがジャニーズ系のイケメンだと知って、どぎまぎしながらお礼を言っていた。


「あっ、あの、助けてくれてどうもありがとう」

「いえいえ、ケガもなさそうで何よりです」

 答えたのは菊留先生だ。


「あの、彼は」

「ええっ、大丈夫です、こちらで対処しますから」

 面白くなかったのは男の方だったらしい。

「紗季、さき、もういくぞ」


ろくにお礼も言わずに女の人を引っ張って逃げるようにその場を去っていった。

当然といえば当然だろう。


終始、紗季と呼ばれた女性は顔を赤らめてじっと先輩を見つめてたんだから。

泉は男女がその場を去ったのを横目で見送ったがすぐに先輩に駆け寄って怒ったように言う。


「先輩、だめじゃないですか、下着くらい着てくださいよ」

「ごめん、熱いのは苦手なんだ、大丈夫、下に短パンははいてる」

「もう、まるみえなんだから」

両手で着物の襟に手をかけ直そうとする。

「痛いよ、泉、大丈夫、自分で出来るから」

「あっ」と泉は先輩の腕を見て叫ぶ、

先輩の腕に痛々しい引っかき傷ができている。

「先輩、また、猛禽を腕にとまらせたでしょう。

 とまらせる時にはミトンを使ってってあれほど言ってるのに」


自分のカバンからスプレー式の消毒薬を取り出し容赦なく先輩の腕に振りかける。

さらに取り出した包帯を腕に巻こうとして手が止まった。


「……これは?」

猛禽がつけた傷以外に妙にはっきりしたこげ茶色の鉛筆くらいの細さの棒線が二本

くっきりと肌についている。その傷を見て先生の顔が険しくなった。


「また、やられたんですか、角田君」

「……」

「私が一度意見して」

「先生、大丈夫です、大丈夫ですから今は何も言わないでください」


先輩は必死な顔で訴える様に言う。

先生は嘆息した。


「わかりました。耐えられなくなったら言いなさい。それくらいの労力は惜しみません」

 皆を見回しコホンと咳ばらいをして言う。


「動けますか?角田君」

「はい」

「とにかく、場を代えましょう、撤収です」

先生の言葉に、皆速やかにその場を後にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ