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超人クラブへようこそ その12

柿津駅 三番ホーム 

ファミレスを出て、一時間後にはメンバー全員でそこにいた。

全員が大山先輩から貰ったお守り代わりのブレスを身に着けている。


菊留先生は三番ホームの白線の内側に沿ってゆっくりと歩を進めていく。

全員で人込みをかき分けながらその後をついていく。

ある地点まで来ると先生は全く動かなくなった。

泉にアイコンタクトで確認を取る。頷く泉。


先生は指二本を口元にたてて、呟くように何かを唱えた。

天地開闢てんちかいびゃくの理よりて居並ぶ精霊たちに申しつくる、見えざるモノをうつつに示せ、顕現けんげん!」


途端に空気が変わった。

それまで風すら感じる流れがあったのに、纏わりつくような気持ちの悪さを伴って霞のような、どす黒い何かが菊留先生の周りに出現した。

それは先生を中心に渦をまいている。


「これが菊留先生の能力よ、『見えないものを出現させる力』私なんか、幽体離脱してる時にこれやられて、えらい目にあったわ」

「これが残留思念?」

大きい……こんな得体の知れないモノと対峙するのか?

本当に無効化出来るのか?知らず知らずのうちに体が怖気おぞけ立つ。

泉も同じだったらしく口元を押えその場にしゃがみ込んでいる。

「気持ち……ワル……イ」

「大丈夫か泉、どこかに移動した方が」

「ダメよ、今、動いたら……確実に誰か死ぬ」

泉は青ざめた顔で俺を見上げてそう言うと般若心経を小さな声で唱えはじめた。

驚いたことに電車を待つ他の乗客たちには全くこの状況が見えてないようだった。

先生のそばをすり抜けていとも簡単にホームを移動していく。

自分たちの体に霞の一部かかっていることを気が付きもしない。


その時、駅の自動アナウンスが流れた。

『間もなく3番線を電車が通過いたします。

 危険ですので白線の内側までお下がり下さい。』

途端に、霞がブワッと線路の方側まで広がった。

同時に、自動アナウンスを無視して、菊留先生の肩をかすめ線路側を歩く二人ずれの男女が目に入った。

警笛をならして、三番線に電車が入ってくる。


霞は一旦凝縮すると中から無数の手が伸びてきて、二人組の男女をからめとり線路側に引き込もうとしている。二人はいきなりぐいっと引っ張られる体に驚いて目を見開いていたが、一体全体何が起こっているのか解らない風だった。


瞬時に、佐藤先輩と角田先輩がすばやく行動を起こした。

二人はそれぞれ線路側に引き込まれそうになっている体に手を伸ばして捕まえホーム側に引き上げたのだ。


「真言、唱えて!」

同時に大山先輩が叫び、慌てて真言を唱える俺。

一瞬、憤怒した不動明王が霞を断ち切るかのように剣を振り上げたのが見えたが、気のせいだったのかも知れない。

その瞬間、爽やかな香りがホームに広がり三番線を電車が通過していった。

二人を引き上げた勢いで倒れこんでいる佐藤先輩と角田先輩。

すぐそばに、しゃがみ込んでいる泉、茫然と立ち尽くす俺と大山先輩。

白線ギリギリに立っている菊留先生はその様子を見てようやく一息ついた。


「どうやら、うまくいったようですね」

言った途端に、先生が持っていた数珠がばらけてはじけ飛んだ。

なにもかも全くの無傷という訳にはいかないらしい。

こういう荒事はいつも何かの犠牲がつきものになるらしかった。



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