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超人クラブ 先生のフィアンセ その36

ウイスキーを飲みながら、一通り、ひかりと話をして

そろそろ全身に酔いが回ってきた頃。

義之は新しく来店してきた客に眼が行った。


見事な体育会系の筋肉、170センチくらいの身長に背広を纏い

茶髪に染めた髪と切れ長の相貌。どうにも聞いたことのある声音。

連れはおらずおひとり様の入店である。


最初は認識できなかったが、この声は


「藤堂!」

酔いが一気に覚め

思わずがたっとソファから立ち上がった。

相手はすぐに反応して返事を返してきた。


「菊留!こんな所で会うなんて珍しいな」


藤堂はホステスへの挨拶もそこそこに、

真っすぐ義之の座るボックスめがけて歩いてきた。


「珍しい。女連れか?」

ソファに座っていたひかりの顔を確認する。

「ほう、別嬪だな。あれっ、もしかして喧嘩してた彼女か?」


梯子二件目なのか藤堂はやけに饒舌だった。

普段は女性の前であがってしまって『どもる』くせにそんな事、微塵みじんも感じさせない口調だ。

『しまった』と思った。藤堂は無類のうわばみだ。


いきつけの飲み屋の一つや二つあってもちっとも不思議じゃない。

どこかでバッティングする可能性は十分にあったのだ。

義之は今更のように逢引の場所を飲み屋にしたことを後悔した。


「はいはい、藤堂様、お邪魔はしないのよ。今宵はカウンターの方へどうぞ」

美咲は一早く気がついて、藤堂の腕をひっぱりカウンターへ誘導しようとするが

か細い美咲の力ではいかんともしがたい。

藤堂の体はびくともしなかった。


藤堂は美咲の手を振りほどくと、ひかりに向かっていきなり土下座した。


「すまん。こいつは女心の分からン朴念仁だが、気のいい奴なんだ。

 何を怒らせたか知らんが許してやってくれ」


藤堂は神妙な声音で言い放った。

ひかりの横で立ち尽くしたまま義之は真っ赤になって絶句した。

藤堂がこんな態度に出ると思ってなかったのだ。





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