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【書籍化、コミカライズ】転生難民少女は市民権を0から目指して働きます!  作者: 鳥助
第五章 冒険者ランクC

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259.魔物討伐~ビスモーク山~(14)

 ビスモーク山での初めての討伐と精算を終えた私たちは待合席に座っていた。どうやら、ハリスさんから提案があるみたい。一体どうしたんだろう?


「それで、話ってなんですか?」

「あぁ、今回の討伐で俺たちはBランクの魔物を沢山倒せることが分かった。だから、今後もBランク狙いの討伐をするべきだと思っている」

「そうだな、Bランクの魔物が倒せると分かった今ならそうするのが自然だろう」

「だが、一つだけ懸念がある。今回のようにマジックバッグの容量が足りなくて、少しの期間しか討伐できないことだ」


 確かに、往復四日かけて行ったのに実働は三日くらいしかない。これは効率がいいとは言えないだろう。本当ならもっと戦えたはずなのに、戦えなかったのがとても残念だ。


「そこでだ、先行投資をしないか?」

「どういう意味だ?」

「新しいマジックバッグを買うのさ」

「なるほど、容量の大きいマジックバッグを買って、山での活動時間を増やすんですね」

「その通りだ。Bランクの魔物で稼げると分かった今なら、新しいマジックバッグを買うこともできると思うんだが……どうだ?」


 サラさんは腕を組んで考え込み、私は顎に手を当てて考える。確かにこれは先行投資だ。稼げると分かった今なら、新しいマジックバッグを買ってもいいと思える。


 そうしたら、一回の討伐で稼げるお金は増える。マジックバッグを買ったお金だって、簡単に回収できるはずだ。


「私はその話に乗ったぞ」

「私も乗ります。そろそろ、新しいマジックバッグが欲しかったところです」

「決まりだな。明日、一緒に店にいってマジックバッグを買おう」


 三人がマジックバッグの買い替えを決めた。これで容量が多くなって、討伐できる魔物も増えることだろう。そうすると一回の討伐で稼げるお金も増えてくれる、そうするとマジックバッグを買ったお金もすぐに回収できるはずだ。


 明日、冒険者ギルドに集合してからお店に行くことになった。


 ◇


 翌日、冒険者ギルドで集合した私たちはマジックバッグのお店に行った。マジックバッグは高級品だからか、店構えも高級志向でちょっと入りづらかった。


「いらっしゃいませ」


 お店の中に入ると入口に立っていた店員さんが迎え入れてくれた。


「マジックバッグをお求めですか?」

「あぁ」

「どの機能をお求めですか?」

「容量が大きなものを頼む」

「それでしたら、あちらの棚にございます。ごゆっくり、ご覧ください」


 店員さんに言われた棚に近づいてみると、そこにはいくつものマジックバッグが置かれてあった。かなりいい材質で作られているそれらの値段を見てみると、息をのんだ。


「二、二百万ルタ……」

「こっちは三百万ルタもするぞ」

「やはり、高いな」


 驚愕の値段に私たちは固まった。中古で買った時は四十万くらいだったけど、正規品はこんなにも値が張るものなんだね。


「どれくらいのを買えばいいんでしょうか?」

「大きければ大きいほどいいのか?」

「時間停止の機能がつくと値が跳ね上がるみたいだから、時間軽減くらいの機能でいいだろう」


 ということは、容量は大きくて、重量軽減と時間軽減はそれなりのものにしたらいいのかな? この中だと、どれくらいの大きさがいいんだろう。


「この棚で一番安いこれなんかどうだ?」

「でも、それ十立方メートルしかありませんよ。そんなに魔物が入るとは思いません」

「そうか……」


 しゅん、となってサラさんが落ち込んだ。値段を見て怖気づくのは分かるけど、ここは思い切りも必要だ。


「これはどうでしょう。二十立方メートルで百五十万ルタ」

「確かに大丈夫そうだが、もう少しあったほうがいい気がする。魔物だけじゃなくて、テントとか食事とか他のも入れることを考えたほうがいいと思う」

「そうですか……」


 ということは、三十立方メートルくらいあればいいんだろうか? そのマジックバッグを見てみると、値段は……二百万ルタ! 買えなくはないけれど、高い!


 三人でそのマジックバッグを見て、深く悩む。高い買い物だから、即決はできない。ここで失敗すれば、今後の冒険にも支障が出るから慎重に決めていきたい。


 三人で悩んでいると、店員さんが近づいてきた。


「何かお悩みですか?」

「あぁ、このマジックバッグを買おうか悩んでいるところだ」

「なるほど。失礼ですが、皆様の冒険者ランクはいくつですか?」

「BとCだ」

「そうなのですね。ならば倒す魔物のランクはいかほどになるのでしょうか?」

「Bランクの魔物を主に戦おうと考えている」

「なるほど、なるほど」


 店員さんは何を考えているんだろう。黙って待っていると、店員さんが口を開いた。


「それでしたら、三十立方メートルのマジックバッグがオススメですが。ここは一つ、もう一つ上のランクのことを考えませんか?」

「Aランクか?」

「はい。この周辺にいるAランクの魔物はビスモーク山にいるドラゴンです」


 えっ、あの山にドラゴンなんて生息していたの!?


「そのドラゴンの大きさは二十五メートルを超える大きさだと伺っております」


 確かに、ギリギリ入るか入らないかのサイズだ。


「今後も冒険を続けていく内に、きっとそれ以上のサイズが欲しくなる場合があります。だから、ここはドラゴンの入る三十立方メートルのマジックバッグをオススメします」


 今、Bランクの魔物を倒しているから、もしかしたらいずれAランクの魔物と戦うことになるかもしれない。その時、また新しいマジックバッグを用意する必要が出るということだ。


 先のことを考えると、ここでドラゴンみたいな大きな魔物が入るマジックバッグを買った方がいいのは分かる。でも、値段を見てみると二百五十万ルタもする。決して安いわけじゃない。


「先のことを考えると、三十立方メートルのマジックバックを買った方がいいように思います。ですが、今の私たちはBランクの魔物を相手にしているので、それほど大きなものはいらないでしょう」

「まぁ、そうだろうな。今であれば十五から二十くらいあれば十分に間に合うと思う」

「Aランクか……いい響きだな」


 サラさんは心が動いているみたいだ。きっと、Aランクに憧れがあるのだろう。私はAランクのことは考えていなかったから、そこまでAランクには惹かれない。


「私はいずれAランクになりたいと思っている。いや、その上のSランクだって目指したいと思っている。だから、ここで先を見据えて三十立方メートルのマジックバッグを買っていもいいと考えている」

「ドラゴンと戦うのなら、まだまだ先は長いぞ。すぐには倒せないだろうな」

「それでもだ。ドラゴンの入るマジックバッグを持っていると、目標が近くにあるような気がしてやる気が漲ると思うんだ」


 熱く語るサラさん、どうやらサラさんは三十立方メートルのマジックバッグを買う気でいるみたい。確かに、目標が近くにあるとやる気も漲るよね。


 すると、店員さんが話に入ってきた。


「うちで買ったマジックバッグであれば、高く買い取りますよ。今は小さめのものを利用して、必要になったら大きなものに買い換えることもできます」

「そのほうが無難か。サラは三十のほうを買うんだな」

「あぁ、私は三十を買う」

「俺は二十を買う。リルはどうする?」

「私も二十を買います。今の話を聞いて、決心がつきました」

「ありがとうございます。では、こちらにどうぞ」


 私たちは店員さんに店の奥まで連れていかれた。高い買い物をしたけれど、これからの討伐を頑張ればすぐに元が取れるはずだ。みんなで討伐を頑張ろう。

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― 新着の感想 ―
蛇足になりますが作中で3人が買ったマジックバックの容量が一辺何メートルと言うつもりで書いたのならば。 一辺が30メートルのマジックバックの容量は30×30×30で27,000㎥ 一辺が20メートルの…
他の方も指摘していますが、立方体の体積は縦×横×高さです。 1㎥なら1m×1m×1m 27㎥なら3m×3m×3m これでは軽自動車一台入れたら後はテント道具を入れるだけになってしまいます。 全長25メ…
[一言] ビスモーク山にいるドラゴンってものすごく細長いのですね。体長25メートルで体積30立方メートル弱なら胴体の最も太いところでも3メートルなさそうです。 30立方メートルといえばだいたい8畳間く…
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